CHAPTER2 招かれざる客 ページ14
−−−−
−−
「おはようございます、A。朝ですよ」
「んっ？ んーーー、あと五分」
「そのセリフは先程も聞きました」
問答無用でタオルケットを剥ぎ取り、眠気眼をこするマーメイドを軽々と抱き抱える。
その様はもう慣れたと言わんばかりのスムーズさで、実際 腕の中の彼女は未だにコクリコクリと船を漕いでいる。
「ジェイド・・・」
「はい、なんですか？」
「眠い」
「はい、そうですか。じっとしていてくださいね」
ベッドから近くのソファまで運ばれ、そしてさも当たり前かのようにパジャマのボタンを外していく。
そしてシャツ、ベスト、ジャケットと順番に着替えさせられ、最後にはヘアアイロンを持ったジェイドがニコニコと笑う。
「A、動かないでください。火傷しますよ」
「うーーん、だって、眠いんだもん」
「やれやれ」
時間にして僅か十分程で身支度を済ませてしまったジェイドは、前日からしっかりと用意してあったAの通学カバンを手に取り、「さぁ行きますよ」と手を取った。
寮内ではこれが当たり前であり、Aの日常だ。
「そういえば、もうすぐ入学式だね」
「えぇ。早いもので僕たちも2年生になりましたね」
「ふふ、フロイドと同じクラス、なかなか楽しいよ」
制服を着こなして部屋の外へ出ると、既に準備万端なアズールとフロイドが待っていた。
彼らは必ずAより早く起き、用意を済ませ、何時でも迎えいれる準備をしているのだ。
「おはよう、アズール、フロイド。先に行ってていいのに」
「おはようございます。Aを置いていくわけには行きませんから」
「そうそう。変な虫がついたら困るしね〜」
鏡をくぐりメインストリートへの道中、感じるのは生徒の視線。
それはマーメイドへの興味、もしくは番犬への恐怖。
「アズール、もうすぐ私たち先輩だよ」
「えぇ、そうですね。どれくらいの生徒がオクタヴィネルに選ばれるでしょうか」
「楽しみっ」
後輩が出来るのがよほど楽しみのようで、Aは鼻唄を歌いながら歩いている。
その一歩 後ろをついて歩く三人はアイコンタクトをした後に、「そうですね」、「そうだね」と頷いた。
「(まず最初に、この寮でのルールを叩き込む)」
Aに悪い虫を寄せ付けない。
彼らの行動は、入学式前の今この時から始まっていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 683人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼空(プロフ) - あ、バレました？？ww (2020年10月5日 0時) (
レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん？ あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・！ (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユナ | 作成日時：2020年9月15日 18時
