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薄氷が割れる音 ページ17

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首をはねろ(オフ・ウィズ・ユア・ヘッド)!!」





芯の通った鋭い声とともに、狸の首には赤と黒のカラーリングの首輪が現れた。



魔法を封じる効果のあるそれをつけられた狸は、炎で燃やそうと魔力を練ろうと試みるが、呆気なく首輪に弾かれてしまう。





「なんだか、面倒なことになったね」

「あのネコみたいなヤツのせいで入学式終わんねーの? 絞めてやろうかな」

「フロイド、顔怖いよ」





ただでさえ長い式にイライラしていたフロイドの怒りはキャパオーバーのギリギリを保ってはいるが、そろそろAの声も届かなくなりそうだ。



そんな時、彼の片割れでひょこりと現れた。





「そんなに怒らないで、フロイド」

「あ〜? ジェイドじゃん。なに、オレ今ちょーイライラしてんだけど」





周りの生徒がフロイドの機嫌が悪い方向に向かっているのを感知して距離をとる中、狸はアズールの手によって外へとつまみ出されていた。



そこでようやく、式の終了が告げられる。





「各寮長は新入生を連れて寮へと戻ってください」





すっかり狸の件は無かったことになり、緊張気味な新入生たちは各寮長の元へ集まる。



「あ、なに、終わった?」とすっかり元の調子に戻ったフロイドとともにオクタヴィネル寮生の集まりに紛れ込んだAは、ぼーっと突っ立ったままの男の子を一瞥した。



ここに自分の居場所はないと突きつけられた彼は、これからどうするのだろうか。



少し気がかりではあったが、自分に出来ることはないだろうとAは前へ向き直る。





「気になりますか?」

「ジェイド」





アズールを先頭に新入生を挟む形でジェイドと二人 後ろにいたAは、「別に」と首を振る。





「・・・そう、あまり考える必要はありません。あなたは僕たちだけを見ていてくださいね」

「うん。ジェイドたちが一番大切だよ」





嘘偽りは一切ないその言葉に、ジェイドは満足そうに笑い、Aの手を取り歩き出す。



オクタヴィネル寮へ続く鏡をくぐる瞬間、Aは、そこにいつもの笑みを浮かべず前を見据えるジェイドを見た。





「ジェ、」





あなたまで怖い顔をしてどうしたの。



Aはそう聞こうと口を開いたが、転移魔法が発動し、意識は真っ暗な闇の底へとことりと落ちていった。





「悪い虫ではないことを願うばかりです」




ぽつり。ジェイドが呟いた。





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蒼空(プロフ) - あ、バレました??ww (2020年10月5日 0時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん? あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・! (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユナ | 作成日時:2020年9月15日 18時

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