◇知らない声、可愛い声 ページ28
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『ん"、…ぁえ、ぉれ…』
「あ、Aさん。おはようございます」
『…?..ぉ、はよぉございます…』
僕がパソコンに向き合ってすぐに寝てしまったのか、掠れた舌っ足らずな声に頬が緩む。一人称だってゆるゆるだ。挨拶を交わしたあともふわふわと自分が何をしていたのか覚えているのかもわからない様子のAさんに改めて声をかける。
「MIX終わったので確認を、って思ってたんですけど、覚えてます?」
『ん…おぼぇて、ます』
「んふふ、お疲れなら確認も全然今じゃなくても大丈夫ですよ。一回寝ちゃった後とかで」
『ゃ、せっかくかいださんとおはなしできるので…このままがい、です、』
「っ、そ、ぉですか…?」
はい、と言う甘い声からへにゃりと笑ったAさんが安易に想像できて、この人、本当にずるいな、と心から思う。眠気を覚ますために一度顔を洗ってくると席を外したAさんに名残惜しさを感じつつも待てば、少し急いでいる様子の足音が聞こえてくる。
『…ッ甲斐田さん、わた、お、わたくし、変なこと言ってませんでしたか!?』
「あははwwいやぜんっぜん変なこと言ってないですよ」
『本当ですか…?』
「はい。でもAさん、寝起きふにゃっふにゃなんですね」
『…そうみたいです。治せるなら治したいんですけど』
「可愛かったので僕は全然いいと思いますけどね」
『やっぱ変なこと言ってたんじゃないんですか…?』
その後、軽口を言い合いつつもMIXの確認と手直しを終わらせて通話が終わった。なんだか今日は、初めて見る彼の姿を沢山見たような気がする。正直、初めて会って笑いかけられた時から何だか心にグッと来るようなものがあると思っていたが、他の人は知らないのだろう彼の姿、声を聞いて確信に変わった。
(…僕、Aさんのこと、好きなんだ)
あんな可愛らしい姿、誰にも知られたくないような、誰かに自慢したいような、少しぐちゃっとした気持ちだ。というかよく考えたらただ寝息を聞いてるだけなんて、僕だいぶ変態なんじゃないか!?
(こんな独占欲強いなんて、思わなかったな)
Aさんから感謝と謝罪のチャットが入っているのに気づき、すぐに返事を送る。…最後に今度二人で遊びましょうと、一文添えて。
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ゆ(プロフ) - yuyuyuさん» コメントありがとうございます〜!とても嬉しいです…!そろそろマシュマロ食べるお話も書きたいと思っておりますので気長にお待ちください! (2022年9月19日 23時) (レス) @page41 id: c22341c169 (このIDを非表示/違反報告)
yuyuyu(プロフ) - 初コメ失礼します!自分自身にじさんじとかのVTuberに詳しくないのですが、内容が分かりやすくていつも楽しんで見てます!!マシュマロ送らせてもらいました!これからも頑張ってください!! (2022年9月8日 17時) (レス) @page41 id: a946daa559 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 名無し78477号さん» コメントありがとうございます!天然人たらしな感じが大好きなので同じ人がいて嬉しいです!応援ありがとうございます、これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2022年8月16日 19時) (レス) id: c22341c169 (このIDを非表示/違反報告)
名無し78477号(プロフ) - 物凄く面白いです。主人公君の天性の人タラシ最高ですね(人*´∀`)応援してます。頑張って下さい!でも無理はしないで下さい! (2022年8月7日 21時) (レス) @page31 id: 22fae7adeb (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - あかふく**さん» あかふく様、コメント、ご指摘の方ありがとうございます!タイトルの方変更致しました。配慮が足りずにすみません。これからもよろしくお願い致します! (2022年7月3日 11時) (レス) id: c22341c169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆ | 作成日時:2022年2月23日 5時