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??「思えばあの日、ここに来ていなければ、今の私はなかったな」
そう言って、なつかしそうに橋の手すりから伸びる外灯にふれる。
??「そう。すべてはここからはじまった……そうだろ?」
しばらくすると、すっかり日が暮れ、外灯が灯り始めた。雪はさっきよりも少し強くなって、手すりにも積もってきている。お爺さんは、ずっと橋の上に立ってなにかを待ちつづけていたが、とうとうあきらめて大きくひと息つくと、誰にも聞こえないくらいの微かな声で、別れの言葉をつぶやく。
??「じゃあな……」
ゆっくりと車の方に向きを変え、歩き出そうとしたその時だった。生ぬるい風がすーっと吹き抜け、空中で雪の結晶がキラキラと輝き始めた。お爺さんが、ゆっくりと川の方を振り返った。まるでオーロラのような神々しい光を帯びた水面に、雪の結晶がきらめきながら降り注いでいる。
??「……!」
それはそれは美しくて幻想的な光景に、お爺さんは目を見張った。
??「おぉ……おおぉ……」
そのとき、お爺さんの瞳に、きらめく何かが映りこんだ。
___そこには2人の人影が。
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作者名:かえるん | 作成日時:2019年1月24日 19時