【◇】ないものねだりな俺らの恋２

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東条


それなら俺のことも好き？

その言葉が喉から出そうになったけど、言いたい気持ちをグッと堪えて我慢した。



「こちらこそ応援してくれてありがとう。かっこ悪いとこしか見せられなかったのが残念だけど。」

「えーそれは私も同じだよ！」


そんなことない。

実際、あの試合を見ていた人達からAを賞賛する言葉が出ていたんだから。

それでなくても可愛くて目立っているのに、これ以上人気が出るのはこちらも困ってしまう。


「いや、すごかったよ。根性あるなって見直した。」

「そんな…大袈裟だよ。練習付き合ってくれたみんなとクラスの人達には申し訳ない結果だったし。」


試合が終わった後までそんな風に考えられるのが素直にすごいと思った。

試合中や試合直後には自分もその感情を持ち合わせていたけど、今は何も考えていなかったから。


「でもね負けちゃって悔しかったけどそんな感情初めてで、すごく楽しかったんだよね。」


どこか清々しい表情で話すAの横顔に思わず見惚れてしまいそうになる。


入部当時はあんなにオロオロしていて、いつも自信がなさそうにしていたのに…

マイナスな発言ばかりしていたAの口からこんな前向きな言葉が出てくるとは正直思わなかった。


「Aすごく変わったね。」


これも沢村の影響なのかなと思うと、また嫉妬心が剥き出しになりそうで自分で自分が怖くなる。


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