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彼女が居なくなった事で静かになった教室が酷く寂しく感じる。
けれどその寂しさも今の自分を落ち着かせるのには調度良くて、さっきまで動揺していたのが嘘みたいに頭が冷静になっていく
____その瞬間、違和感を覚えた
「……俺にバレるってどう言うことだ?」
話しぶり的に彼女の幼馴染みがこの学校にいるとは思えないし、当然小学校や中学校が同じだった訳じゃない。
家も知らないのに俺が相手に気づく訳なんて無い、のに…
「……いや」
もう1つ可能性があった。
と言うかそれしか考えられない。
“ボーダー隊員”
バレる確証があると言う事は既に関わりのある人物か、或いは知名度が高いかのどちらか。
おバカ。愚直。褒められると調子に乗る。明るい
彼女が放った言葉を思い返して記憶にある人物と照らし合わせる。
「……っ、」
_____ガラ
彼女の幼馴染みの影を掴んだ刹那開け放たれた教室の扉
あまりにも突然の出来事に肩が跳ねると、扉の先に立っていた人物は“……悪い”と呟く
「……奈良坂?」
屈指の美形・実力派狙撃手
ボーダーでも学校でも有名な人物が俺以外いない他クラスの教室に用があるなんて
「悪いな、今は俺しか居ないんだが…」
奈「だろうな。三上が福地を呼んだから」
何か事情を知っていそうな口ぶりに感じる違和感
「(1人しかいないと分かっていて来た?なんのために、)」
俺たちは特段関わりある訳でもない。
それなのになんで
奈「……少し聞いてもいいか?」
「…あぁ」
俺を射抜く緑の瞳は蛇のように鋭く、
喰われないように必死に動かして奈良坂の質問に備える
奈「____福地のこと、好きなのか?」
「……は?」
好き。それはつまり恋愛感情として。
俺が彼女を?
そう考えた瞬間にぶわっと上がる体温。
まさか本当に…
「……そんな訳__」
奈 「そうか。なら良かった」
「……は?」
被せるように言い放った奈良坂は酷く冷めた表情で俺を見つめる
奈 「片桐にその気が無くて助かった」
上がる口角に反して瞳の奥は無のまま、彼は爆弾を投げかける
奈 「_____福地のことが好きなんだ」
_______________
作者です。
SideStoryを読んでくださってる読者様に先行して新たな絡みの予兆を置いていきます
さて幼馴染みは誰でしょう、、
本編もお楽しみに!
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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月16日 16時