雨のち快晴 ページ12
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「……気づいていたのか?」
『そりゃこんな近くに来たらね』
背後に居た俺の頬をピンポイントで撫でた手を掴めばゆっくりと振り返ってこちらに微笑むあいつ
対して隣の男は気づいていなかったのか、話を聞かれたく無かったのか僅かに目を見開く
『勉強会に巻き込まれたんじゃなかったの?』
「終わった」
仁 「嘘つけ!」
『あ、光じゃん』
おつかれ〜なんてヒラヒラと手を振るがそいつは全く疲れていない
仁 「つーかAは片桐と一緒か?珍しいな〜」
『そう?』
仁 「だって三輪以外と一緒にいねーじゃん」
『光の脳内だと秀次しか選択肢がないのね』
“選択肢が俺だけ”
その言葉が異常に嬉しい
意識してAの隣に居るようにしているが、それが第三者からも認めて貰えていたことが黒い渦を消化していく
『……じゃ、私はそろそろ隊室戻ろうかな』
片 「ッ、」
仁 「は!?Aも勉強教えてくんねぇの!?」
『やる事出来ちゃったから。…どうしてもなら片桐に教えてもらいな。わかりやすいよ』
その会話を皮切りに手を出して立たせればいつも通り俺の隣にあいつが来る状態に。
それがどうしてもしっくり来てしまうんだからどうしようも無い。
「悪いな片桐」
片 「あ、いや」
心にもない謝罪
強いて言えば仁礼を押し付ける申し訳なさだろうか。
……いや、それもAの頭を撫でた事で帳消しだ
1歩歩き出すと同時に少し睨めば簡単に逸らされる視線
……なんだ。その程度か。
その程度なら
さっさと諦めてしまえ
『秀次』
「……なんだ」
『秀次の安心感ってどこから来てるんだろ』
「知るか」
……とは言ったももの。
そこに答えがあるとするなら
俺がお前を想ってその笑顔を見るために手を尽くしているから。
「A」
『んー?』
さっきの答えだ
「俺は別にお前に彼氏が出来ても心配はしない」
『……そう』
だってそうだろ。
俺が心配する様なやつならお前はきっと見向きもしないし
お前がそいつに振り向く前に俺が
だから俺以外がお前の隣に並び立つならそいつはどうしたって俺が勝てないやつ
……けど安心しろ
俺は
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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月16日 16時