知らないままで ページ13
｢一目惚れしました｣
｢好きです｣
｢付き合って下さい｣
そんな言葉をよく受け取る人生だと思う。
“好き”
100％好意であるその単語に心が動いた事が１回でもあっただろうか？
……あぁ、でも最初の数回は嬉しかったかもしれない。
幼稚園生と言うプロポーズを簡単に行ってしまうような年齢だった時は少なくともプラスの感情を持っていたはずだ
けれどそれも年齢と共に荒んでいく
小学生、中学生と学年が上がっていくに連れて増えていく“告白”の数
何度“好意”を告げられたのかもう正直覚えてない
ただの自慢話に聞こえるだろうか？
けどこの話の本質は違う。
別に俺はここで自慢話をする気はない。
話を戻そう。
女子たちから“好意”を受け取るにつれて、その中身は空っぽになっていった。
具体的に言うなら誰も
＿＿＿皆口を揃えて顔がいいだのかっこいいだの。
見られているのも求められているのも“奈良坂透”と言う上っ面の外殻
どいつもその外殻と共にあることで自分の価値を上げる事しか考えていない。つまり外面さえ良ければ俺がどんな人なんかなんてどうだっていいのだ。
実際中学の時に告白を断ろうとしたらカッターを取り出して手首に当て始める奴もいた
“気持ちに応えてくれないなら切る”
って
そこに俺の意思は関係なくただ相手方の命が優先される
なんて寒気のする話なんだろう。
これが漫画の世界ならまだ良かったかもしれない。
けれどこれは間違いなく俺の人生
俺はこの先
ちゃんと好きって伝えて、手を繋いで、ハグをして。
それを心からの誠意で行うことは出来るのだろうか。
周囲に失望し、不安に駆られている時だったな。
＿＿＿＿＿お前と出会ったのは
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作者名：八月蝶 | 作成日時：2023年3月16日 16時
