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『お疲れ様で〜す』
クタクタになった身体を引きずるように隊室に逃げ込むとそこに居たのは想定していた人物ではなく、
『…蓮さん?』
黒髪美人。女神のようなお姉様。
「おかえりなさい」
『珍しい…』
「ふふ、私だってオペレーター室から出歩く事もあるのよ」
いつもは秀次がソファ、蓮さんがオペレータールームで作業しているからてっきり今日もだと思っていた……が、
秀次の姿は見えないし、蓮さんは笹を持って優雅に佇んでいるしで訳が分からない
「Aちゃん。」
『はい?』
「今日は七夕ね」
『あぁそうですね』
別に七夕だからって特別な事は無いが
“なぁ1年に1度だぜ?俺とデートしよう” by弾バカ
“ほらおいで (ハグしよう)” by美形No.2
と先程まで頭のネジが外れた方々がいた。
その外れたネジを拾い集めて修繕するのに奮闘していたらこんな時間だ。たまったもんじゃない。
「Aちゃんは織姫と彦星の言い伝えを知っている?」
『まぁ、はい』
神様が働き者だった彦星を認めて織姫と結婚させたら2人とも働かなくなってしまい、怒って2人を天の川で引き離した結果1年に1度しか会えなくなった。と言う
『……それが何か、?』
「ふふっ。もしそれがAちゃんと三輪くんだったらどうする?」
刹那蓮さんの背後__オペレータールームでガタッと大きな音が立つ
『お部屋大丈夫ですか?物音しましたけど……』
「いいの。気にしないで。お話の続きをしましょ」
珍しくキャピキャピしている蓮さんが勢い良く迫ってくる
秀次が彦星で私が織姫、、?
いや私が織姫はどうかしてる。一旦置いておこう。
秀次が彦星……
『似合わな…』
「あら、それはどうして?」
『どうしても何も、___秀次はあんな甘っちょろい人ではないでしょう?』
働き者の設定は間違いなく合ってるが結婚して怠惰になるのは絶対にありえない。
秀次なら好きになった相手と四六時中行動を共にするためにまず仕事場に相手を連れ込む。
で、何食わぬ顔で相手の傍に居続ける
それは仕事を理由にした方が娯楽よりよっぽど一緒に居やすいだろうから。
それに万が一神に引き離されそうになっても
天の川で隔てられる前に二人で三途の川渡りそう
「つまり」
『心j 「言わなくていいわ」』
1年に1度しか会えない悲劇の物語なんて彼の辞書には載ってない。
きっと秀次の愛は海より深い永遠を選ぶ
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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月16日 16時