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「は?」



それが素直に出た言葉だった。




告白されたのか……?
誰に
いつ
どこで


……あぁでも
自分は断り方を聞かれているから彼女も断るつもりなのか



乱れる情緒がバレないように小さな声で答える




『え?』

「普通に断ってる。付き合えないって」



『…相手がしつこい時は?』



「良心は痛むが、興味無いから辞めてくれと伝える」



『なるほど?』




少し考える素振りを見せてからパッとこちらを捉えた彼女は少し笑っていた




『意外かも』



「そんな斬新だったか…?」



『ふふっ、違うの。でも答えてくれてありがとう』





オーソドックスな断り方を提言したはずなのに目の前の人は面白そうに笑っていて、自分がやらかしたのでは?と疑問さえ生じる。


けれど同時にその笑顔が受験終わりだったあの時の笑顔を彷彿させた




_____彼女だったら俺の心を救ってくれる



そんな淡い期待と願望が過去から語りかけるように頭を過ぎり




「……なら俺の質問にも答えて欲しいんだが」



『?全然いいけど、』




気づいた時にはそんな事を言っていた。





「……福地も順位が全てだと思うか?」





そして流れるように出てきた言葉は自分の奥底に溜めていた想いそのもので、想像を超えるほど諦めに満ちていた

……あぁ。疲れてるのかもしれない


期待されるのも
勝手に見限られるのも。

心を摩耗させるには十分すぎた





『……あくまで私の意見だけどね。何も知らない人にとっては順位が全てだと思う』




だからこそその返答に心が引き裂かれた。

疲れきっているメンタルで想い人からの否定の意見を受け止められるほど俺は強くない



あの優しい彼女がここまで言うんだ。
もうどうしたって変えよう無いんだろう



そう思って自分諦めがピークに達し、自分自身を否定しようとした瞬間だった




『でも、知ってる人からしたら全く関係ないと思うの』




彼女の温かい声が静止をかけた。





『順位なんて物事を測る尺度なだけでその人の本質は伴ってない気がするの』



「…そうか?」



『少なくとも私は奈良坂の狙撃が1番信頼できるよ?』



「……それは、」





懐かしむように言葉を紡いでいく彼女が受験帰りの時と重なり、さっきまで張り詰めていたはずの心が一気に溶けていく




___あの日と同じ。



……いや。少し違うか。













今彼女の瞳にはハッキリと俺が映っている。

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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月16日 16時

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