女王の朔望月 (ページ34)

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私が夢ノ咲の校舎を出た頃にはだいぶ日が昇っていた

スマホで時間を確認すると7時30分

予定より少し長居してしまったけど特に問題は無い。
これなら他の人に出くわさず静かに学院を去れる

『(…やっぱりこの学院は可能性で溢れてる)』

たった半日しかいないのに立派になった騎士や暴走大魔王、愛らしい双子の存在を確かめる事ができた

……けれどその事実が少しばかり後ろ髪を引いてくる

もうここに私の居場所はないのにね。

1度足を止め校舎を振り返ると桜は散り、蒼い新芽が息吹いた桜の木が目に入る

＿＿＿どうか彼らの夢が芽を出しますように

儚い願いを桜の木に託し、裏門へ1歩踏み出そうとした時だった。

『(……何これ)』

足元に落ちたそれは何とも立派な薔薇の花弁に気がつく

最初からあった？
これは本物？それとも造花？

鮮やか過ぎる赤に様々な疑念を感じつつその花弁に手を伸ばす＿＿＿＿＿＿

『っ！？』

そしてその瞬間に絶対的な過ちに気づく

私は何処で間違えた？

双子に遭遇した事？
零の元を訪れた事？
それとも凛月に会った事？

……いや違う。それよりもっと前

しかし考えてる暇は無い。

とにかく急いで学院を出なければ＿＿＿＿＿

｢おやぁ？させませんよ。

フフフ……お久しぶりですねぇ！！Amazing！！｣

＿＿＿＿＿計画が破綻する

『わ、たる、』

｢本当に久しいですね女王陛下！！……いえA。貴女の驚く顔が見れて嬉しい限りです｣

『どう、して、何で』

何で貴方がここにいるの、？

そんな言葉さえ上手く口に出来ない程に戸惑った私の前で彼はバサバサと鳩を広げ、鮮血のような薔薇の花弁を降らせる

こんな豪華な事が出来る人間はこの世にただ1人だけ。
彼は日々樹渉で間違いない

｢そうですねぇ。質問にお答えするなら “過ちを繰り返さない為”ですかねぇ…☆｣

『……違う』

違う。

あの時判断を誤ったのは私の方。

だから貴方には＿＿貴方だけには絶対に会わない。そう決めてここに来たのに

『……待って、どうして、』

｢フフフ。流石女王陛下お気付きの様ですねぇ！！｣

どうして

凛月。貴方がこちらに来ているの？

貴方はまだ寝ているはずじゃ、

｢さて、裏門前は右手側が行き止まり。目の前には私。左手側から21秒後に騎士が、そして後ろの校舎からは46秒後に魔王がここへ到着します☆

……A。チェックメイトです｣