10.ご馳走 ページ10
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「お、おいしそう…」
「せやろ?!」
食卓に並べられていたのは、想像を絶するご馳走たち
正直、生肉を出されるのではないかとヒヤヒヤしていた
「俺ら味にはうるさいからな、こういうの得意やねん」
「一番のこだわりはこの肉と米。山の中腹にある温泉に沈めて蒸すんやけど、米は時間かかるから結構大変なんやで」
自慢げに話す二人は美食家そのもの
…それにしても凄い出来だ
実際、彼らは獣姿になれば食事も基本生肉で十分らしい
二人は人型になったことがきっかけで料理に目覚めたとか
「Aは"塩"って知ってるか? 俺の友達がニンゲン界に詳しいんやけど、そいつから貰った魔法の粉や」
ゾムさんが奥の棚から容器を取り出し、中身を見せる
調味料も使われているのか
つくづく感心していると、ゾムさんが徐に自分の腿を指差す
「A、食べさせたるからここ座りや」
「ぇ…自分で食べます」
いきなり何を言い出したかと思えば、ゾムさんはそのまま肉を千切って渡してきた
本人は至って真面目な様子
「ほら…呪いは"他人から受け取ったものしか抑える効果がない"から、自分で食べても意味ないで」
真顔で肉を近づけてくるゾムさん
…待て、なんでそんなに詳しいんだ?
純粋な疑問を抱いていると、ロボロさんが口を動かす
「べ、別に深い意味はないんやけどな、強いて言えば……そういう言い伝えみたいなもんや」
一人で食べても問題はないで、と補足したロボロさん
…なにか迷信の類なのだろうか
再び料理に目線を移して、ふとあることに気づく
この世界は人間こそいないものの、植物や動物は現世でも見慣れたものばかりだ
つまり、ここでも自給自足ができるのでは?
そうなると少しだけ希望が持てる
最悪すぐに出口が見つからなくても、生きていくことは可能だということがわかった
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一人黙々と考え事をするAの横では、静かに説教が行われていた
「なんで意味不明な嘘ついてん、信用落ちるやろが」
「…構って欲しいんやもん」
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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます!不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!! (2022年7月27日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます!応援とても励みになります!! (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです(?) 更新頑張ってください!!! めっちゃ応援してます!!!! (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます!ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:へる | 作成日時:2022年6月24日 0時