検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:31,239 hit

10.ご馳走 ページ10

.


「お、おいしそう…」

「せやろ?!」


食卓に並べられていたのは、想像を絶するご馳走たち


正直、生肉を出されるのではないかとヒヤヒヤしていた


「俺ら味にはうるさいからな、こういうの得意やねん」

「一番のこだわりはこの肉と米。山の中腹にある温泉に沈めて蒸すんやけど、米は時間かかるから結構大変なんやで」


自慢げに話す二人は美食家そのもの


…それにしても凄い出来だ



実際、彼らは獣姿になれば食事も基本生肉で十分らしい


二人は人型になったことがきっかけで料理に目覚めたとか


「Aは"塩"って知ってるか? 俺の友達がニンゲン界に詳しいんやけど、そいつから貰った魔法の粉や」


ゾムさんが奥の棚から容器を取り出し、中身を見せる


調味料も使われているのか


つくづく感心していると、ゾムさんが徐に自分の腿を指差す


「A、食べさせたるからここ座りや」





「ぇ…自分で食べます」


いきなり何を言い出したかと思えば、ゾムさんはそのまま肉を千切って渡してきた


本人は至って真面目な様子


「ほら…呪いは"他人から受け取ったものしか抑える効果がない"から、自分で食べても意味ないで」


真顔で肉を近づけてくるゾムさん



…待て、なんでそんなに詳しいんだ?


純粋な疑問を抱いていると、ロボロさんが口を動かす


「べ、別に深い意味はないんやけどな、強いて言えば……そういう言い伝えみたいなもんや」


一人で食べても問題はないで、と補足したロボロさん



…なにか迷信の類なのだろうか


再び料理に目線を移して、ふとあることに気づく


この世界は人間こそいないものの、植物や動物は現世でも見慣れたものばかりだ


つまり、ここでも自給自足ができるのでは?



そうなると少しだけ希望が持てる


最悪すぐに出口が見つからなくても、生きていくことは可能だということがわかった



__


一人黙々と考え事をするAの横では、静かに説教が行われていた


「なんで意味不明な嘘ついてん、信用落ちるやろが」

「…構って欲しいんやもん」

11.交渉→←9.寝起きの災難



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (131 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
368人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます!不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!! (2022年7月27日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます!応援とても励みになります!! (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです(?) 更新頑張ってください!!! めっちゃ応援してます!!!! (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます!ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:へる | 作成日時:2022年6月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。