自称ブスは変わり者3 (ページ9)

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107話ページ9

だから、これ以上黒の邪魔にならないように稲荷崎でのマネをこなしてきた…

だけど、合宿とか、休みの日とか、会おうと思えば会えるけど、

あ｢距離が遠いんだよ｣

湯船に向かって放たれた私の言葉はとても酷く、掠れた声だった

あ｢は、なんて顔してんの私｣

湯船に映った私の顔には今にも泣きそうな顔をしていた

あ｢たかが部活…か｣

たかが部活という線を引けば私だって楽になれるんじゃないかとどこかでそう思ってしまっている

私の一方的な気持ちで黒を縛りたくない、そんなのこっちに来る前から黒と何度も話した

"俺もお前に会えねーのはすげぇ嫌だけど、縛りたくもねぇ"

あ｢じゃあ、あの時私の手を引いてでも引き止めて欲しかった｣

去年も、泣きそうな顔して私を見送ってたのは何でって、突き止めたくなる

あ｢黒と毎日会えないの嫌なのは私も一緒だよバカ｣

去年は半年ぐらい違う高校でマネをすることになって、帰ってきたのが12月ぐらいだった

今年は音駒に一緒に居られるって思ってたけど、4月から兵庫って聞いた時はまたか、って思った

今度はそんなにすぐに会える距離じゃない事はお互い知ってる

600kmの先に彼がいる…

あ｢あっつ、上がろ｣

ずっと考え込んでたからのぼせてしまった私はすぐにお風呂から出た

inリビング

ソファに座ってテレビでも見ようとしたら電話が掛かってきた

スマホを手に取り誰が掛けてきたかなんて確認もせずに通話ボタンをタップした

あ｢もしもし｣

？『うわ、酷い声』

あ｢開口一番それですか、及川さん｣

通話ボタンタップする前に確認すれば良かったと思った

あ｢で、用は何ですか｣

及『Aちゃんの声を聞きたくってかけちゃった』

あ｢何ですかそれ、ふふ｣

及『知らない土地で知らない人達に囲まれて寂しいんじゃないかと思って優しい及川さんが元気づけようと君に電話を掛けたんだ』

あ｢え、今兵庫来てます？｣

この人はエスパーかなんかなのかと心の中で思った

及『そんな訳ないじゃん、今までストーリーとか楽しそうに載せてたのに急に減ったから何かあったんじゃないかと思って』

あ｢…｣

及『だんまりということは肯定と取るけど…いい？』

いつもあんなにおチャラけてるふざけた及川さんが今の私にとっては何よりも心の支えになるのに十分だった

及『Aちゃん？大丈夫？』

あ｢な、んでっ…そういう時だけ、優しくするんですか｣