勿忘草の丘 ２.【オリジナル長編物語】

50話 魔法の世界の少年少女 ページ5

木曜日の夜、また夢を見た。

アレンの故郷の景色が、綿飴の様な霧の間から少しずつ見えてくる。

私が今知っている情報は、その家に五人の人間が住んでいること。住人は全員未成年だが、この

世界ではこんな事があっても珍しくないらしい。

その中には保健室で知り合った紗羅や、水玉オレンジの人もいた。



「……そういえば、アレンの一番弟子は見つかったの？」

「安心してよゆり姉、今日保健室で会ったから。ちょっと寝ぼけてたけどね」

「お、あいつも遂にやったか。危なっかしい奴だからちょっと心配してたんだけどな」



アレンのことについて話していたのは白髪の双子と銀髪の女性。紗羅の隣に座る白髪の少年は、

茶トラの猫を膝に座らせて彼女の話に耳を傾けていた。

銀縁眼鏡をかけた銀髪の女性の名前は分からないが、紗羅からはゆり姉とよばれている。

そして、残りの二人は長身の男女。片方は水玉オレンジの人だ。横長に並ぶ深い緑色のソファー

に、背中合わせで座っている長身の男性は、彼女の幼馴染か何かだろうか。



………ずっと言い忘れていたが、寺で見た水玉オレンジの人は女性である。



私が目線を三人の方に戻した直後、銀髪の女性が暗い表情をより一層曇らせながら、とても重た

そうな口を開いて何かを呟いていた。



「……私、ずっと気になってる事があるの」

「おい百合亜、あのことはもう気にするな。きっと何かの間違いさ」



百合亜という女性がある疑問を口にした途端、白髪の少年も険しい表情を見せる。一方、紗羅は

姉の想定外の発言に驚きを隠せていない様子だ。

彼女の一言で、周りの空気が重くなった。

あの事って、一体何だろう。



と、気になったところで目が覚めた。

51話 幽霊橋の亡霊→←49話 秘密の共有は二人だけで

ラッキーカラー

あずきいろ

キャラの最近つぶやき【２.】編

雷華 「最近暇すぎて百合亜の人形で寅と遊びだす夕食後の自由時間。」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す