勿忘草の丘 ２.【オリジナル長編物語】

65話 大きすぎる決断 ページ20

しばらくすると、澪達が帰って来た。

澪は、さっきと全然違う、何か大きな決断をした表情で。

それに対して、百合亜さんと男子二人は少し呆れた表情で。

何があったのかは知らないが、きっと彼女にとっての良い事だったんだろう。

自信に満ちた表情をした澪は、私の元へ駆け寄ってこう言った。



「やったよA！ 私も魔法使いになれるかもしれない！」



直後、私の身体は一時的に硬直し、頭の中が真っ白になった。



"澪が、私と同じ魔法使いになる？"



なんとか我にかえると、嬉しさと安心が込み上げてきて、思わず口元が緩む。手を握り合って、

喜びあった。仲間が増えたことが、ただ単に嬉しかった。



でも、少しばかり心配があった。日常生活のこともあるけど、魔女になったら仕事があるはず。

百合亜さんだって、若干呆れた表情をしていた。きっと内心ではすごく困っている。

魔法使いには専門の仕事があるのか気になって紗羅に聞いてみたが、それを生業にする人とそう

でない人がいると答える。ふーん、扱えるだけの人もいるんだ。

じゃあ、私が勝手に心配してただけなんだ。

悩んでいる内に、百合亜さんが私達ににあることを告げた。



「繋木さんの友達なら多分大丈夫だから、記憶の補正はこれからの様子を見て考えるわ」



この言葉を聞き、みんなの記憶を消されないですむことになったと分かり、私は安心した。

それで、澪に魔法を教えるのは誰だろうと考えていた。

すると突然、百合亜さんが険しい表情になって澪に話しかけた。



「本当になりたいっていうなら、こっちの世界の住人になってもらうけど、どう？」

「え……… じゃあ、どうしてAはこっちの住人になっていないんですか？」

「……彼女は、ある理由で魔法使いにならなければいけなかった。だから、もう少し考えてみな

さい。貴方が魔法使いになった時、本当に幸せになれるのか」



百合亜さんの言葉に、澪は少しだけ怯んだ。

うつむいて、何か、ぶつぶつと呟いている。



「…………やっぱり私、魔法使いになりたい！！」






それは、澪の大きすぎる決断だった。


『今思えば、ここで止めておくべきだった』


なんとなく、嫌な予感がしたのは、私だけだろうか。

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キャラの最近つぶやき【２.】編

雷華 「最近暇すぎて百合亜の人形で寅と遊びだす夕食後の自由時間。」

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