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97話 人攫いによる分裂 ページ7

妖精の背中を追う私達。彼女は羽、私達は足で進む。

いい加減箒にでも乗ろうかと思ったが、それでは雷華さんと勇助が可哀想だ。

と言っても、今いるメンバーの中で楽しそうにしているのがこの二人だけなんだが。

勇助は植物やきのこに夢中だし、雷華さんの方は木の上とか岩場ををひょいっと飛び越えながら

移動してるし。あの177cmの長身で軽々と、ひょいって。

前世は猿ですか貴方。



「へくしっ、誰か私の噂でもしたか?」

「いえ」



で、この妖精はクラーレさんの助手なんだとか。いつもは彼女の家に住みながら、私達のような

迷い人を見つけてアルセニック湖の入り口まで案内したりしている。

さて、簡単な説明を済ませて本題に戻ろう。

少女の妖精曰く、最近この辺りに人攫いの魔物が出るようになったらしい。

だから、私達は周囲の気配に気をつけて、垂れ下がった木の枝を掻き分けている。

しかし、私の努力は一瞬にして水の泡となった。

そう、あの時…… 私達は一瞬の隙をつかれて制圧されたんだ。



目の前に黒い何かが横切ったと思ったら、突然体が金縛りのように動かなくなって、どうしよう

もない寒気が全身を包み込んだ。私みたいな新米魔女にはどうしようもないような、強い力で。

次第に意識が薄れゆく中、珍しく焦った紗羅達が魔物に応戦する。

でも、どうやらこっちが押されてるみたい。

妖精の方は既に倒れている。雷華さんが樹上から飛び降りてナイフで奇襲をしたけど、魔物の方

はびくともしない。紗羅とアレンも、戦う前に変な魔法をかけられたらしく、魔法が使えない。

要するに、私達は無力…… ほぼ一瞬で、突然現れた魔物達に取り押さえられた。





ずっと遠くの、暗い闇の中。どこからか、私の名前を呼ぶ声がする。

その声は、私が自然と求める声…… 強い意志があり、それでいて愛おしい。

私は自分の意志のままに、ゆっくり手を伸ばす。私が愛した、あの声の方へ。



「A! 大丈夫か!? 俺が誰だか分かるか!?」

「……一矢」



瞼を開くと、私のすぐ左側に一矢が座っていた。

余程私の事を心配していたのか、今まで見た事がないほど目をかっぴらいている。

唐突に誰だか分かるかって聞かれてこっちも焦ったけど(一矢とアレン)、口調と声の高さで回答

が遅くならずにすんだ。

重たい上半身をムクッと起き上がらせて、眠い目を擦りながら辺りを見渡す。

ここは、さっきの森じゃない。

98話 脱出するために→←96話 ズィーゲルの森の妖精


ラッキーカラー

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勿忘草の丘 *作成話 &・つぶやき

・中二病って難しいけどかっこいいんです


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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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さやや - やはりそうきましたか…(^∇^) ヒントもあるのでじっくり考えてくださいよ〜 (2017年4月3日 22時) (レス) id: 5be7de8890 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - キャラクイズは3番で!2番と迷いましたー(笑) (2017年4月3日 19時) (レス) id: c42f2bb75a (このIDを非表示/違反報告)
さやや - 頂志桜(サム)さん» そろそろ3.から4.に移りそうなので、今回の番外編では後から入ってきた人達の設定等を公開したいと思います。またキャラ選挙もやりますね〜 d(^_^o) (2017年3月31日 23時) (レス) id: 9fc94228fe (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - さややさん» 大変ですね……ご心労お察しします。根気よく頑張ってくださいね。応援してます! (2017年3月31日 22時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - 頂志桜(サム)さん» 文字化けですね…… 百合亜さんのお父さんの名前は龐で、ミチルと読みます。満の方に変更しようと思います。繫木の方はどうしても変更するわけにはいかないので、見つけ次第直すしかないですね…… (´Д` ) (2017年3月31日 22時) (レス) id: 9fc94228fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年2月4日 10時

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