勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

128話 中二病二字熟語連発中 ページ38

前に通ったアルセニック湖に続く道は、全く整備されていない獣道だった。

しかし、今通っている小道は、ある程度綺麗になっている。

小道の西に進むと大きな滝があるから、迷って落ちないようにするためだと思う。

ここから南西に進むと砂漠の渓谷しかないのに、自然って凄い。



「紗羅、この滝の水はちょっと曲がって私達の街に流れてきてるんだよね！」

「主流は商店街と住宅街の境目にある所よ。むっふふ、澪も物知りになったわね〜！」

「きゃあ〜」



道の隅には色とりどりの花が咲き誇り、青々とした草木が夏風に揺られた。心地よい風に吹かれ

ながら、付近の森の小動物に癒され、割と整備された小道を歩く。

百合亜さん達が住む町は、私が住んでいる荒澤町周辺よりも比較的涼しい。雪山に近かったり、

森があったり、水が豊富だったりと理由は様々。ちなみに、冬は結構雪が降るんだとか。

それにしても、知里花さんが引き連れている焦げ茶色の馬は凄く落ち着いていた。

確か名前は梢と言っただろうか、梢は枝の先という意味だった気がする。

……こずえという言葉の響きが可愛らしい。



「ボクの梢は玲瓏の心を授かりし煉獄の世の使い。知らない奴が乗ったら雷霆のごとく大暴れし

て振り落とすんだよ」

「仲間だと分かれば振り落したりしないから安心しな」

「うむ。雷華の言う通り」



相変わらず個性的な性格の知里花さんだが、街を治める魔法使いという立場の中で普通の騎士を

やっているというのもまた不思議。

エルティエの魔導書を受け継げるのがひとりだけだったということもあり、優秀な姉をどこかの

面で超えようとしていたとか。

百合亜さんの苦手なことは、体力を使うこと。つまりは武術だ。

小さい頃、中二病になる前、森で出会った民族に槍と馬術を教えて欲しいと頼んだのはこれがき

っかけだろう…… と、百合亜さんも言っていたそうな。

「あと、私の武器はただのナイフじゃなくてダガーだぜ」と、雷華さんが私達中学生組にもう一

度教えてくれた。そして、ナイフと二丁拳銃使いの世羅がくしゃみをしていた。



「私がいけなかったのよ……」

「百合亜、今からでも遅くないさ。俺はその事覚えてないから、よく分かんねえけど」



落ち込む百合亜さんを慰める世羅。

心が冷めているのではないかと思っていたが、そんなこともないようだ。

不器用だけど、姉を慰めることがきるんだから。

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ラッキーカラー

あずきいろ

勿忘草の丘 ＊作成話 ＆・つぶやき

・中二病って難しいけどかっこいいんです

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