勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

124話 時系列が前後する話 ページ34

クラーレさんによるアレンより地味に短い解説を聴く。

そう、地味に長いのではなく短いのだ。

私は雄也さん達が異世界に移った頃に誕生、その３ヶ月後の一矢が生まれた年にタイミングよく

移った。それは勇助の方も同じらしく、その頃街が荒れていたために魔法で母親代わりの人形を

作り、完全に預けた様な状態になっていたという。

私の場合、叔母さん(分身)が一緒にいてくれた。クラーレさんもたまに来ていたので、時間軸が

入れ替わりすぎて正確な自分の年が分からなくなったという。一応３５歳以上。

勇助が一矢の親子と同じようになれなかったのは、親が街を守る森の神様だったから。

街や学校は具現化された幻など…… 中学に入るまでは幻と会話していたということか。

ここに来た時は魔法使いの特権ということで、私達と会話をしたりした等の幻の記憶を荒澤町民

の記憶の隙間に貼り付けたりしていたらしい。



「あぁ、三途の川が見えるぜ………」

「Aさん、とうとう一矢が壊れたよ」

「賽の河原の方が正しいと思うけど？」

「便乗しないであげて」



彼はまだ子供だから、三途の川より賽の河原の方が正しい。これは紛れもない事実だ。

話が終わり、私達は力尽きた一矢を置いて家へ帰った。

ちなみに、今の私の家は５人家族。私と叔母さんとクラーレさんとルピナスとアレンだ。

ルピナスはたまにしか家にいない上に血の繋がりはないので、本当は家族ではない。

しかし、それならアレンだって血縁関係はない。だからルピナスも家族でいいのだ。

８歳くらいなのに、可愛くてもしっかりしているのがいいのだ。

しかーし、雰囲気がアレなので話しかけづらいのはあしからず。

今日はまたあっちの世界に行ってしまったので、今はひとりで魔法の練習中。

アレンは私に魔法のクイズを出したいと言って、別室で作業をしている。

そろそろ居間に帰還する頃だろう。



「A、化学や核反応によるエネルギーの激しい放出は！？」

「エクスプロージョン」

「あっちの世界で出会ったの人の中で最も体力が乏しい人は！？」

「百合亜さん」

「中二病発言を割愛させられる人は！？」

「知里花さん」

「学校と素で性格が大分違う人は！？」

「紗羅」

「ヒ素は英語で！？」

「アルセニック」



アレンの問題は始めだけ魔法術関連で、後はほとんど人物の特徴だった。

こうして、私達はしばらくその対話を続けていた。

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