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191話 殺気漂う白壁の窓 ページ11

【世羅 視点】



「まぁ、ここに"奴"が現れればすぐにミリヤが伝えてくれるから、魔物とかではないだろ」

「そうかそうか…… ところでお前、いい加減それやめろ」

「足に当たるものを蹴って何が悪い」

「………刺す」



真っ赤な色のスニーカーで地面を蹴るたび、赤レンガの石畳に転がった白壁の破片が飛び散る。

そして飛び散った破片がバトラーの後頭部に刺さり、破片を蹴った俺は今、彼の鋭利な暗器で額

を狙われていた。デコを狙うとは随分と度胸のあるやつだな。

そんなふざけた喧嘩をしているうちに王都の奥まで進んだのだが、アルメリア王国は土地の面積

は狭くとも、ひとつひとつの建物は異様なレベルで高い。そもそも階段が多く、橋も多い。

それゆえに、百合亜あたりはすぐにへこたれる。まだ時間もありそうだし、幸い国民にも見つか

らなかったので、俺達はすぐそこの広場にあった木製のベンチで休むことにした。

しかーし、ここで素直に休ませてくれないんだなぁ、このベンチは。

ユラと百合亜の座ったベンチが、腰掛けた途端にバキッと折れたんだ。

あの2人ってあんなに重かったっけと思いつつ、俺達は2人を起き上がらせた。

破片を見て分かったが、どうやら悪いのはベンチの方だったらしい。

随分とガタがきている。だいぶ昔のものだな……

しかも、ベンチに掘られていた"…………を追い出せ"という文字は、随分と古いものだ。

戦争が起こったのは事実か。



「なぁロック、この戦争ってつい最近始まったものじゃないよな」

「うん。何年も続いている可能性もありそうだけど、今はそれどころじゃなさそうだよ」



ロックは落ち着かない様子で前髪をいじる。俺もこの王国の中に入ってから嫌な予感しかしない

んだが、ベンチが折れた時からはついでに妙な殺気が取り巻いていて、とりわけ気分が悪い。

見えないはずの真っ黒な窓の奥から、大勢の人間がこちらを見ている気がした。



「まさか、俺達ってここに来ちゃいけなかったか?」

「もしかしたら、そうかもしれない。アルメリアが内乱を起こす理由なんて一つしかないよ」

「例えば、何かを恐れて追い出したくなったとか?」

「うん。それならアルメリアの民も戦争を起こすかも」

「問題は何を恐れてるのか……」



悩み続けるうち、周囲に漂うただならぬ気配が近づく。

ススだらけになった革靴が、暗闇で地を蹴った直後、俺は振り向きざまに銃を構えた。

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ラッキーカラー

あずきいろ

4. までのキャラが扱える楽器をご紹介!《共通点も考え中》

シネラ:???…… まさかのオリジナル楽器です。ネタバレになりかねないので???状態。


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設定タグ:シリアス , 魔法 , 恋愛   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年8月12日 22時

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