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192話 恐れられる者達 ページ12

【世羅 視点】



飛びかかってきたのは、小さな斧を持っている中年の男性。

ところどころ白髪の混じった赤髪はボサボサ。髭もきちんと剃られておらず、服も乱れている。

撃つか、避けるか、受け止めるか。もしも相手が"奴"やサイネリア軍の者だったら、俺は迷わず

この引き金を引くだろう。完全に敵対している奴なら、ためらう必要もない。

そもそも、敵に同情をする必要がないんだ。

殺される前に殺す、そうしなければ俺達は生き残ることができないから。

しかし、今のような状況で相手を殺せば、周囲の人間が一斉に襲いかかってくるだろう。

かといって手や斧だけを狙っても、変な方向に斧が飛ぶかもしれないから皆が危険だ。

避けたとしても、斧が手から抜けてまた飛ぶってこともある。そもそも、素知らぬ来訪者が強い

と分かったら、それこそ恐ろしいだろう。

まぁとにかく、殺しは皆が嫌がるだろうからやめる。

そうなれば、適当に受け止めるしかないか。

硬化の魔法で銃や腕を岩のように固める。これで受けをとれば、なんとかなるだろ。



と、思ったら。



薪割り用の錆びた鉄の斧と、俺の手に馴染んだ銃の間に、見覚えのある刀が差し込まれた。

その刃には、よくわからない刃紋がある。

……誰のだったっけ。



「大丈夫ですか師匠っ!?」

「あぁ…… お前の刀かよアレン。帰ってくるの早かったな。で、どうした?」

「え、ちょ、何ボケっとしてるんですか! さっさと敵を片付けないと!」

「片付けなくてもいい。お前はその物騒な刀を鞘におさめて、早く落ち着け」

「あぅぅ、分かりました………」



突然現れたアレンは大人しく刀を鞘にしまい、俺の目の前で尻もちをついた男性を睨む。

男性は声にならないような息を吐き出しながら、かさついた唇をぱくぱくと動かしていた。

俺の背後に、味方の魔力の周波が増えたのを感じる。ひじきの討伐、案外早かったんだな。

ホントに、なんで今集合したんだよ。余計に警戒されるじゃないか。

次第に静かになっていく周りの空気。鉄の斧の男性の声が、聴き取れそうな気がした。



「薄氷の、民だ…… 日之影の一族が、きちまった………!」



薄氷の民、日之影の一族?

何を言っているんだこいつは。俺達のことを敵とみなしているのか。

アルメリア王国と日之影家は、友好関係にあるんじゃなかったのか。

それに、なんで。





_______雪のことを知って





………直後、目の前が暗くなった。

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ラッキーカラー

あずきいろ

4. までのキャラが扱える楽器をご紹介!《共通点も考え中》

シネラ:???…… まさかのオリジナル楽器です。ネタバレになりかねないので???状態。


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設定タグ:シリアス , 魔法 , 恋愛   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年8月12日 22時

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