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209話 溢れかけたもの ページ29

【雷華 視点】



皆の後ろでゆっくり歩いていたはずの世羅の突然の大声に驚いた私は、珍しく本気で焦っている

様子の世羅のそばで、膝をつきうずくまる彼を見つけた。

「ほら、言わんこっちゃない」と、彼の具合がすぐに治ろうものなら、そう言ってからかうつも

りだった。だが、今のロックは遠巻きから眺めても相当やばそうだ。

一応世羅が応急処置をしているようだが、早くそばに行ってやらないと……!

……でも、そばに行くだけで何になる?

"あの時"だって、私は仲間のそばにいるだけで、なんの役にも立てなかった。

結果、仲間はみんな死んでしまって、私だけが残された。

じゃあどうするんだ、百合亜にこのことを知らせるべきか……?



「……よし。これでしばらくは大丈夫そうだな」

「あ、ありがとう」



あ、世羅がやってくれたじゃないか。

真っ白になった頭にようやく色が戻ってきて、気がつけばロックの容体は元通りになっていた。

様子を見た私はほっとして、見事にまっさらな胸を撫で下ろす。

もう大丈夫だな。にしても、やっぱり"アレ"がなかったからいけなかったんじゃないのか?

その"大事なモノ"は、いつもはパッと見だと分からないようになっている物なんだが、たまーに

チラッと見えるんだよな。イメージの色は黒か深緑で、ロックの私服より深い色。

はっきりと見たことはない代物で、少なくとも珍しい物である可能性は高い。

まぁ、もし仮に自身の体に関わるような物だったら、ロックが街に来る前の事が分かってくるよ

うな気もするが…… じゃあ百合亜は"アレ"を知ってるのか?



「どういう訳でこうなってるかはあえて聞かねぇが、"大事なモノ"はちゃんと持ってろよ」

「え、えっと、どうして世羅がそれを?」

「雷華があんなに心配してたんだ、"アレ"って結構大事なものなんだなー」

「盗み聴きしたんだね…… もぅ」

「人聞きの悪い言い方するなよー。 確かに、今回の3日間は見当たらなかったな、"アレ"」

「うん…… って、ちゃっかり服の中覗かないでよっ!」



なーんか騒がしいな…… まぁいいや、悪いことは起きなかったんだし。

自分やロックの過去をいちいち気にしていられる程、時間があるわけでもない。

今はAを助ける為に、先を急がないとな。

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ラッキーカラー

あずきいろ

4. までのキャラが扱える楽器をご紹介!《共通点も考え中》

シネラ:???…… まさかのオリジナル楽器です。ネタバレになりかねないので???状態。


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設定タグ:シリアス , 魔法 , 恋愛   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年8月12日 22時

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