銀さんと日記帳(下)の(下) ページ13
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「ふー良かったー、今日のお前が俺のことを好きじゃなかったら意味ないからな。」
「?どうしてですか?」
問いかける私に、おいおい、と呆れた顔を見せる銀さん。
すると、突然目の前が暗くなった、
と同時に顎を上に寄せあげられ、唇に柔らかい感触がした。
少しだけ力強くて思わず固く目を瞑った。
「これで分かったか?」
優しい眼差しでくすりと笑う銀さんに、私はもうタジタジだった。
「なぁ、何で今日のお前が初対面であるはずの俺を好きになったのか、聞いていいか?」
「それは....日記に書いてあった貴方の人物像が、魅力的で、何より、昔の私がこんなに執心するほど素敵な人だったから。」
「で?どうだったよ、実際の銀さんは。」
またいたずらに笑う彼に私はもう焦がれてどうにかなりそうだった。
「実際の方が、何倍も素敵でした....
私を助けて下さって、ありがとうございました。このご恩は一生忘れません。」
「何度礼を言や気が済むんだよ、お前は。」
「きっと何度でも言いますよ、」
引き寄せ合うようにどちらともなく、私たちは再びキスを交した。
もう今日でこの甘い感触を忘れてしまうのかと思うと、
今日で彼の温もりを忘れてしまうのかと思うと、
涙が溢れてきた。
そっと唇を離した銀さんは、私の涙を親指で拭ってくれた。
「何で泣いてんの。」
「私は明日になれば、貴方をこんなにも愛していた事を忘れて目覚めるんです。
こんな甘いキスをしたことを忘れて、
好きな人がいる満ち足りた幸せを忘れて、
目覚めるんです。
明日になれば、今日の出来事は無かったも同然になるんです。」
嗚咽混じりの言葉を、銀さんは何度も涙を拭いながら静かに聞いてくれた。
「無かったことになんてならねぇよ、
お前が全部忘れても、俺が全部覚えてるから。
そして明日もまたお前に会いに行くから。
だから泣くな、」
抱き寄せられた彼の胸の中で涙を流し続ける私は、ぽつりと本音を呟いた。
「私.....それでも明日が怖いんです、どうしましょう。」
すると銀さんは、曇りのない真っ直ぐな目で私を見据えて言った。
「おいおい、俺を誰だと思ってるんだ?
今の今までずっとお前を惚れさせてきた男だぞ?
だったら、明日も明後日も明明後日も、
これから何度だってお前を落としてみせるさ。」
その時、10月2日の私は、
明日の私が変わらない幸せな一日を送れることを確信した。
end
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のと丸(プロフ) - メローネ大好き少女さん» 誠に申し訳ありませんが、ただ今リクエストは受け付けておりません。ご了承願いますm(_ _)m (2019年8月20日 1時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
メローネ大好き少女(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?男になった月雄を見て目を合わせられない夢主にどんどん迫ってくるのと月雄が入浴中の夢主を襲いに行くのをよろしくお願いします!分かりづらくてすみません (2019年8月20日 0時) (レス) id: d4923716c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年8月16日 5時