銀さんと最後の日(下) ページ2
「え、泣いてんのお前。」
「ちょっと、寂しくなってきちゃって...」
一筋の涙の跡を拭って、笑ってみせる。
「それで、」
「え？」
「寂しいの次は何だ？」
「....銀さんの声甘くてとろけそうです。」
「俺への気持ちじゃなくて、今のお前の気持ちを聞いてるんだよ。」
「私の...気持ち？」
「そうだ。胡散臭いお世辞聞くよりそっちのがマシだ。」
「..........正直言って、まだ死ぬ実感がないんです。」
「...そうか、案外そういうもんなのかもな。」
「あとお母さんの手料理が食べたいです。」
「お袋の手料理か、食ったことねぇから分かんねぇけど、世界で一番美味いんだろうな。」
「ふふ、言えてます。」
「実は私、昔は暴れん坊だったんですよ。」
「あー、何となく分かるわ。」
「嘘ですよ。」
「嘘かよ。」
「..........銀さん」
「何だ。」
「やっぱり何度だって言いたくなります、貴方って本当に素敵な人なんですもの。」
気付けば涙がぼろぼろ零れていた。
「おいおい、そんなブサイクな面で棺桶入るつもりか？女は笑顔が一番可愛いんだぞ。」
そう言って、熱を帯びた親指で不器用ながらも、優しく私の涙を拭ってくれた。
これから私はもう二度と彼と会えないのかと思っても、まるで夢見心地のように感じられた。
この人との未来を考えてみたりもしたくらいに。
「銀さんが皆に愛されてるのを感じる時が一番幸せなんです、私。」
「俺の母ちゃんかよ。」
「ふふ、こんなに立派な息子私じゃ育てきれません。」
「...ねぇ銀さん。」
「んー？」
「今すごく貴方のことについて喋りたいんですよ、もう喉まで来てるんです。いいですか？」
「もう勝手にしろよ。」
「では、遠慮なく。銀さんて、本当にお人好しですよね、いっつも困ってる人見るとほっとけ無くて、他人であれ誰であれ良い人には自分の体投げ打ってでも助けようとして、そして悪いヤツにはビシッとバシッと成敗してくれる強さがあって、カッコイイし、頼もしいし、度々出てくる数々の名言には心打たれます。打たれるだけじゃなく妙に説得力があって＿＿」
「饒舌過ぎんだろ、馬鹿。」
夜の優しい闇の中、
私のやかましい口を止めるように、銀さんがそっと口付けした。
柔らかくて生温い感触がゆっくり離れていく。
「あぁ...月が...綺麗ですね。」
「だな。」
最後の星空の下、
最後の銀さんと、
最後の夜を過ごして、
最初の恋が終わった。
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のと丸(プロフ) - メローネ大好き少女さん» 誠に申し訳ありませんが、ただ今リクエストは受け付けておりません。ご了承願いますm(_ _)m (2019年8月20日 1時) (
レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
メローネ大好き少女(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか？男になった月雄を見て目を合わせられない夢主にどんどん迫ってくるのと月雄が入浴中の夢主を襲いに行くのをよろしくお願いします！分かりづらくてすみません (2019年8月20日 0時) (レス) id: d4923716c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年8月16日 5時
