貴女に惚れました。【文スト】【男主】

貴女に惚れた21 ページ24

周りが銃を下ろしたのを確認し、俺も銃を下ろす。指は引き金にかけたままだがな。得体の知れん奴等の前で武装を解除する程莫迦じゃない。


「それで、貴様は俺に何の用だ？」


…俺は盛大に地雷を踏み抜いてしまったらしい。目の前の少年は俺の言葉にわなわなと震え出し、遂には怒りを露わに掴みかかって来た。


「何の用だと⁉あんたが僕の人生を滅茶苦茶にした癖に！あんたが！父さんを、殺した！母さんも殺した！僕達家族をバラバラにした！死ね！この疫病神！」


「知らんな」


「……………は？」


呆けた様に少年が手を離す。俺は寄れた服を丁寧に伸ばしながら云った。


「貴様の父の事等知らん」


「嘘だろ？そんな筈無い！」


「事実だ」


俺の態度に憤慨したのか、少年は再び俺に詰め寄る。怒りで周りが見えていないのだろうか。俺は銃を手にしているのに、よくもまあそんなに近づけるものだ。


「有島武郎と云う名に聞き覚えがあるだろう⁉」


……………全く聞き覚えが無いな。彼奴なら分かるだろうか。


携帯端末を取り出した俺は掴みかかって来る少年を止めながら、ある人物に電話をかけた。


「《珍しいですね、貴方が電話なんて》」


電話に出たのは本部に居るであろう同僚だ。本部になら資料がある。この少年の云っている事が本当なら資料がある筈だ。


「調べて欲しい事がある」


「《…一応、内容を聞きましょう》」


「俺が粛清した人間の中に、"有島武郎"と云う人物は居るか調べてくれ」

貴女に惚れた22→←貴女に惚れた20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す