貴女に惚れた16 ページ19
敦side
「おい」
「はい、なんでしょ………鳳、さん?」
背後から声をかけられた。客かと思い振り返ると暫く見なかった鳳さんが立っていた。
「与謝野女医は」
「え?…あ!い、医務室に居ます!」
僕の言葉を聞くや否や、身を翻して医務室へと向かって行ってしまった。
……吃驚したぁ……。
急に現れた事もそうだが、何よりも雰囲気が違う事に驚いた。…何処かが何時もと違う気がする。
「彼、髪を整えるだけであんなに変わるのだねえ」
太宰さんがそう呟いた。……そうか、髪型だ。何時もボサボサの髪が今日はきちんと後ろに撫で付けられていた。雰囲気が違って見えるのはそれの所為か。
…吸い込まれそうな目だったなあ。
何時も髪がかかってよく見えなかった鳳さんの目は、吸い込まれそうな黒い瞳だった。深い深い闇の様な、暗い暗い深淵の様な。
「敦君?どうかしたのかい?」
思考の渦にはまっていると、太宰さんの声が聞こえた。その声でハッと我に返る。取り繕う様に太宰さんに話しかけた。
「そう云えば、鳳さんは何のお仕事をされてるんでしょうね」
「実は私も知らないのだよ」
「太宰さんもですか?」
太宰さんなら知っていると思っていた。太宰さん曰く、与謝野さんも知らないだろう、と。
「与謝野さんも知らないって……鳳さんって何者なんでしょうか…」
「さあ。彼が明かしてくれるのを待つしか無いね」
そう云う太宰さんの目は、酷く凍てついて、恐ろしかった。
92人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Asterisk@あーちゃん(プロフ) - 『鳳』って、与謝野晶子女史の旧姓ですよね!! (2019年5月14日 22時) (レス) id: 13131826f9 (このIDを非表示/違反報告)
Asterisk@あーちゃん(プロフ) - コメント失礼致します。凄いです、こんな小説を探していました…!主人公が鉄幹さんなんて、凄く素敵です!! (2019年5月14日 22時) (レス) id: 13131826f9 (このIDを非表示/違反報告)
藍斗(プロフ) - 続編希望です! (2018年7月30日 10時) (レス) id: 2f591e73cb (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 1 (2018年7月27日 17時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - 1 (2018年7月27日 13時) (レス) id: 6ed63001fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ペンギン屋 | 作成日時:2018年7月9日 23時