ボクはキミをえらんだから…15（yu-ta）

今一番幸せかも… ページ4

舞台初日



毎年の事ながらやっぱり緊張するわ




「ｳｳｳｯ…」




裕『大丈夫か？』




朝飯作りながらえずくAの背中を擦る…



「ｯ…ふーｯ…大丈夫」




裕『なんかごめん…Aばっか辛い思いさせちゃって…』



そう言う俺の顔マジマジと見ながら




「裕太君もつわり
経験してみたいの？と言うか
私ばかり赤ちゃんを感じちゃって
ごめんね…」




裕『いや、なんか辛そうだから』




「ホント辛いｯ…でもね、私、今一番幸せかも…

裕太君との赤ちゃんを感じられ
そして私のお腹の中で元気に育ってるんだって思えるから…」




裕『Aｯ…』



「でも…ご飯を炊く度にどうしても耐えられないの…この匂い…

ﾊｧｯ…これだけ何とかならないかな」



首を捻りながらそんなこと言ってるから



裕『飯、無理して作らなくても良いんだよ…
パンだってなんだって
俺も玉子くらい焼けるし…』




「ヤダよ、この時期しか味わえないんだから、辛くても満喫させて頂きます
ｳｳｯ…」



またえずきながらも
味噌汁作ったり玉子焼いたり…



せっせと朝食の準備をしてくれる



「ｳｳｯ…裕太君これ、
あーダメだｯ…自分で取り分けて食べてくれる？」



そう言ったかと思ったら
トイレ駆け込んじゃって…




裕『大丈夫かー？』



前はいちいち付いてって背中擦ってやってたけど、病人じゃないって怒られるから最近は声だけかけて控えてる



ご飯よそって
味噌汁よそって…


グリルから魚を取りだし
玉子を皿に移し




裕『いただきます…』



ダイニングテーブル
一人手を合わせて食べはじめる




「ごめんねー」



すっかりスッキリした顔のAが戻ってきて




「ｳｳｳｯ…やっぱりご飯はダメだわ」




なんて言いながら
冷蔵庫からお茶を取り出し



コップに注いで飲んでる




裕『食べられそうにない？』




「んー、体調戻ったら食べるから」



ホント女の人って…母親になるって大変なんだな




裕『そうだ、今日舞台は来られそうにない？』




どんな時も毎年観に来てくれてたけど

今年はキツイか？




「うん、今日は行けないかな

でも千穐楽には理佐と行こうと思ってるの

その頃にはつわりもおさまってるんじゃないかと思って…」



裕『じゃあ今年も頑張んなきゃな』



毎年の事だけど

カンパニーの皆と良いもの作んないと…そして今年は今までとは違う
新たな気持ちで…

頑張らなきゃな…

玉ちゃんいた…→←婚姻届…

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