九十八振目 ページ13
｢大倶利伽羅、そっちの様子どうだ｣
｢問題無い、俺一人で十分だ｣
｢んじゃ、ここは任せる。俺は裏を守る｣
｢あぁ｣
そう大倶利伽羅に告げると、和泉守は長い髪と羽織りを翻し、大倶利伽羅に背を向け走り出した。
その間、大倶利伽羅は横目で和泉守の背後を偵察しながら、己の視界に写るもの全てを睨み付ける。
和泉守の姿が視界から消えると、大倶利伽羅はふっ、と息を吐き視線を前に移す。
己の背後には、顕現されていない刀の収納所。
主の結界で固く守られている刀の蔵があった。
かなりの数が揃っているので、大きさもそれなりだ。ここが襲われ、刀が敵の手中に移ると厄介な事になる、という理由から大倶利伽羅と和泉守兼定の二人がこの位置に配置された。
大倶利伽羅は暗くなって来た庭を眺める。
動いたものは、遠慮無く叩き切る。
眼前を睨み付け、警戒を怠らない。
視界の端で動く影。大倶利伽羅はその正体を見破るや否や、抜き掛けた刀を鞘に納めた。
｢ここは危ない、戻れ」
小さな影の正体は大倶利伽羅が飼う、と審神者に伝えた猫であった。大倶利伽羅がその小さな生き物の身を案じ、避難を促すがごろごろと喉を鳴らし、猫は大倶利伽羅の足に頭を擦り付ける。
ぐっ、と息を詰めた大倶利伽羅は仕方ないな、と優しげな手付きで片手で猫を抱き上げる。その辺には、はらはらと桜が舞っていた。
左手でしっかりと猫を抱いた大倶利伽羅は、右手で刀を抜き、殺気を放つ敵を睨み付ける。
敵は片手で数えられる程度。
ふっ、と鼻で笑った大倶利伽羅はお決まりの台詞を吐いた。
｢俺一人で十分だ」
その言葉と同時に動き出す敵短刀。
口に加えられた刀が、大倶利伽羅の首を目掛け一目散に飛んでくる。それを軽々と自身の刀身で受け止める、その反動で敵の刃が弾き飛ばされた。その瞬間に出来た隙を見逃さない大倶利伽羅はふっ、と軽く刀を振るい敵短刀の頭を粉砕する。
刀を握っていない左手は、しっかりと猫を抱き抱えていた。背後は蔵。前方は敵。数では圧倒的に負けている。目に見えるだけでも十は越える敵の数に、それでも、大倶利伽羅は負けるわけがない、とその金の双眼を爛々と輝かせていた。
「…この程度の数、俺一人で充分だ」
刀を横に振るい、投石兵を展開した大倶利伽羅。
目にも止まらぬ速さで飛んでいく石が、約半数の敵を破壊していった。
「行くぞ」
短く発したその言葉と同時に駆け出した大倶利伽羅は、敵を睨みつけその体を貫いた。
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黒桜 - そして私は三日月さん推しなので、この作品で死にそうです、、、、ありがとうございます！！！(死亡) (2020年1月19日 17時) (
レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 黒桜さん» 最近来てくださった方ですか！ありがとうございます！！私も最近ゆるゆると続きを書き始めたところですので、もうしばらくお待ち下さい！応援ありがとうございます！！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 - 最近読み始めてここまで来ました！応援してます頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 伊達 光秀さん» わわっ、ありがとうございます！！全然更新出来てませんが、完結まで頑張ろうと思ってるので…気長に待っててください…！！見習いくんは、これからも元気にやってもらうつもりです……。コメントありがとうございました、嬉しいです！ (2018年10月14日 11時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
伊達 光秀 - 見習い君が助かってよかった！(泣)めっちゃ面白いです！これからも更新楽しみにしてます！ (2018年10月14日 8時) (レス) id: 9cccb0eb3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力組 | 作成日時：2018年4月30日 13時
