第四章第二十九話 ページ29
キルアは私に気付くと階段を上がり、私の隣に座る。
「受かって良かったね〜」
あははと笑って見せるがキルアは違和感に気付くとじっと顔を見つめた。
正直何を話せばいいか全くわからない。
「気にしてる？」
「....まぁ、そーなるよな。けど、ふつーに接しろよな！気まずくなんのが一番嫌なんだよ。」
と頭の後ろで手を組んで前を向いたキルア。
「....けど、」
彼のけどという小さな声を聞き逃さなかった。
「俺の事考えてくれてんだって思うと、嬉しい。」
胸がぐっと鷲掴みにされたそんな感覚。
めっちゃ可愛い。
「耳、赤くしちゃって〜このやろ！！」
と耳たぶをふにっと触ってみると「赤くなってねーし！」と触られた耳を押さえ、顔まで赤くなっていく。
そうだよね。私だって気まずくなるのが一番嫌だ。
これからも一緒に三人で旅をしていくのだから。
「よーし！もうそろそろゴンも来るんじゃ」
来るんじゃない？と言おうとしたときだ、ドオンと大きな音が扉の向こうから響いた。
そして数秒後、扉が開き、ゴンが何事もなかったかのように出てくる。
ゴンはこちらに駆け寄ってくると、「キルア！A！よかった、二人も選ばれたんだね！」とキルアの横に座る。
「当然！」
「今の音お前か？」
ゴンは壁を殴ってみろと言われ、殴ったらしい。さすが強化系、威力がすごい。
けど、強化系だからと言ってはじめからこの威力を出せるのは難しい。きっと相当修行したんだろうな。
お姉さん感動で泣いちゃいそう。
「それってどー考えても必殺技だろ？どんな技だ！？」
「へへー、ヒミツ！」
キャっキャとじゃれあいをする二人を見て微笑ましく思っていると、ツェズゲラさんが扉から入ってきた。
そして契約書を配っていく。
「午後五時にヨークシンを出発する。それまでに契約書を読み、サインを済ませ、プレイの準備を終えてターセトル駅の中央口に集合してくれ。」
私たち三人は無事、試験に合格したのだ。
★
とあるレストランで私、ゴン、キルア、そしてレオリオが集まって試験通過のお祝いをしている。
契約書をレオリオに見せると分かりやすいように説明してくれた。
もちろんその契約でOK。私達はすぐにサインをした。
「んじゃ、そろそろ行くか。」
レストランを出るとタクシーが１台。レオリオとはここでお別れだ。
「またね、レオリオ」
「おう」
レオリオが乗ったタクシーはどんどん遠くなっていく。
「俺たちも行くか。」
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月16日 17時
