狩られる者。② (ページ42)

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第三章第三十二話ページ42

「え、イルミ？」

そう、あのイルミがタキシードを着て主人の隣に立っているのだ。

私は車から降り、まず主人に挨拶をする。

「初めまして。本日護衛を勤めさせていただくAと申します。よろしくお願いいたします。」

ペコリとお辞儀すると主人はニコニコして「よろしくね」と言い、肩を叩いた。

「....よろしく。」

イルミにも一応挨拶。私は車の扉を開け、主人を中に入れると自分は運転席に乗り、出発した。

★

「で、なんでイルミが護衛なんてしてるの？」

今はパーティー中。
主人はいろんな人と話すからと私たちを置いて他の主人のところに行ってしまったのだ。
だから隣にいるイルミと会話をしている。

「あの主人の依頼。主人の横で話してる奴....ターゲットだから主人の護衛として潜入したんだよ。」

そのあとも依頼あるし....と大変そうだ。

「....そっか。」

イルミは、殺しが嫌じゃないのだろうか。
子供のころからやっていたのだろうけど、もう慣れてしまったのか？

「ねぇ、キルは？」

「バクチでもしてるんじゃない？お金が必要だし。あ、けどもう夜だしホテルで寝てるか。」

「キルはのためならお金くらい出すよ？」

「いや、いいよ。」

ほんとにキルアが好きなんだな～と感じた。
それよりも....

「いつもと雰囲気違うくて....なんかびっくり。」

「それはこっちのセリフなんだけど....。胸元、開けすぎじゃない？」

キルアにも言われた～と私は胸元を隠す。
すると主人が私たちのところに戻ってきた。しかもイルミのターゲットも連れて。

「彼女、一角族なんだよ！A、挨拶して。」

「初めまして、Aです。」

ペコリとお辞儀するとその男性は私の角を触り出した。
ぞわっとする。
ゴンが触ったときと....全然違う....嫌だ。触って欲しくない。
鳥肌が立ちそうな腕を必死につねって隠す。

「へぇ、ねぇ、今度僕のところの護衛に来ない？はずむよ？」

「はは、よろしくお願いします。」

パッと顔をあげてニッコリ笑った。我慢、我慢。

「お手洗い行ってくるよ。....ねぇ、ついてきてくれない？ほら、そっちにはもう一人護衛がいるみたいだし。」

そっと腰に手を当てられ、思わず下唇を噛んだ。
我慢！我慢！！

するとパッと離された手。

「私がついて行きますよ。男性のお手洗いなら護衛は女性より男性の方がいいでしょう？」

イルミだ。