狩られる者。 (ページ8)

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第一章第六話ページ8

他の受験者たちもどちらが本物か全くわかってない様子。

次の瞬間、私の横を何か薄っぺらい物が通った。

頬にはそれがかすったであろう痕が残ったが、一角族は丈夫であるため血は出ていない。

しかし、私の後ろにいたさっきまで「俺が本物だ」と騒いでいた男性は、その薄っぺらい物..トランプで顔面を串刺しにされていた。

サトツさんはというと見事キャッチしている。

このトランプを投げたのは他の誰でもない、44番、確か名前はヒソカだっただろうか。

他の受験者が近づかない方がいいと言っていたのを覚えている。

「これで決定◆そっちが本物だね♡」

サトツさんはトランプを地面に捨てると、「次からは試験官への反逆行為とみなし、即失格とします。よろしいですね。」とピクリとも顔を変えず言った。

「はいはい◆」

本当に思っているのだろうか..と思いながらヒソカをじっと見つめると、ヒソカは私の視線に気づき、ニコーッと笑った。

私はその笑みが、ピエロというよりかは悪魔のようなそんな感じがして、怖く、顔を背けた。その笑みを忘れようにも忘れることが出来なかった。

★

私は今、ゴンとキルアと一緒に二次試験会場へと走っている。クラピカとレオリオと話していたところをキルアが手を引き、此方に連れてきたからだ。

「ゴン、A、もっと前に行こう。」

「うん。試験官見失うといけないもんね。」

「そんなことよりヒソカから離れた方がいい。」

ヒソカ、あの薄気味悪い悪魔みたいな笑みが脳裏にちらつく。

「あいつ殺したくてウズウズしてるから。霧に乗じてかなり殺るぜ。」

私とゴンは「なぜそんなことがわかるのか」という顔になった。

「俺も同類だから、臭いでわかるのさ。」

くんっとゴンは臭いを嗅ぐが、「そんな風には見えないよ」と首を傾ける。

「それは俺が猫かぶってるからだよ。そのうちわかるさ。」

「ふーん」と興味なさげなゴン。

「レオリオー！クラピカー！キルアが前に来た方がいいってさー！」

遠くの方からは「ど阿呆ー！行けるならとっくに行っとるわい！」とレオリオの声。

緊張感がないというかなんというか

その時、霧がだんだんと濃くなってきた。と同時に後ろから受験者たちの悲鳴声が聞こえてくる。

「レオリオとクラピカ大丈夫かな..？」

「人の心配してる場合じゃないだろ。」

ゴンをちらりと見ると、ゴンも二人が心配な様子だ。