狩られる者。 (ページ41)

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第二章第八話ページ41

「そっか、俺尊敬されてるのか。」

「いや、話聞いてました？」

全く話を聞かないイルミ。もう顔が近すぎて爆発しそう。イルミの長い髪の毛が垂れ、視界はイルミの顔と真っ黒な髪の毛だけ。

「ほんとっ！嫌！！」と私は目をつぶり、イルミのおでこ目掛けて頭突きをした。角が突き刺さらないようにね。

そしたら案の定隙が出来る。
私はすぐに起き上がり、ドアを開けようとしたがドアノブに手をかける前にドアが開いた。

「お食事をご用意しました。イルミ様。」

「ひぇ」

「あ、ゴトー。そいつ部屋から出さないでね。」

ゴトーさんと言う人は私を見るとすぐに食事と一緒に部屋押し込まれた。

「それでは、ごゆっくり。」

「まっ！」

バタンと扉を閉められる。
あともうちょっとで出れたのにと肩を落とした。
だって今出ようとするともう大丈夫なイルミが阻止するからだ。

「ほら、お腹空いてるだろ？食べなよ。」

お皿には綺麗に並べられた色とりどりの野菜。お肉。魚....。

「いえ、食欲ないので。」

私はイルミから一番遠くの角に行き、ちょこんと座る。

「まるで三次試験のときみたいだね。今の俺がヒソカってことか。」

「あの時は俺の後ろに隠れてさー。」と出された食事をモグモグ食べていくイルミ。
私だって食欲がないわけじゃない。ただ、下で三人が頑張っているのに私は呑気に豪華な食事なんて出来ないからだ。
一刻も早くキルアのところに行かないと。

「ねぇ、ほんとに食べないの？」

「はい。食べません。」

プイッとそっぽを向くが、お腹は馬鹿正直にギュルルと鳴ってしまう。

「....お腹空いてるじゃん。」

「違います。」

「はぁ、じゃあ紅茶だけでも飲んだら？」とイルミは手際よく紅茶をティーカップに注いだ。
そして私のところへ持ってくる。

「ほら。」

「....では、紅茶だけ。」

私はティーカップを受けとると、ちびちびと紅茶を飲む。
あ、美味しい。
気づけば全部飲んでいた。

すると目の前にいるイルミの顔面が歪む。
いや、部屋も歪んでる。これは、なにか....

「何か入れましたね、イルミさん。」

「うん。普通なら一舐めしただけで気持ちよーく眠るのに....まさか全部飲んじゃうまで起きてるなんて。」

だんだんとイルミの声が小さくてなっていく。
けど確かに聞こえた。

君は、逃がさない。

と。