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JAM LADY/渋谷 ページ15

「Aご飯出来たで!」


最近部屋にこもりきっているAをどうにかリビングへ引き出そうと俺は久々に腕をふるった。


「ほら、Aの好きな鯖の味噌煮やで?」


静かに頷くと俺の隣に腰を下ろす。
いつもなら向かい合ってご飯食べるところやけど、今日はどうやら離れたくないらしい。


「昨日ね……隆平にキスしちゃった…絶対…絶対隆平とすばるにだけは手出さないって決めてたのに…でも隆平がわたしから離れていきそうで……」


俺はAを抱きしめながら話を聞く。
バーで出会った奴、職場の先輩、バーテン、クラブで出会った商社マン、モデルといろんな相手としては自己嫌悪に陥って俺に泣きながら話す。
そんなAを見るのは辛かったけど、俺だけがAの中を知ってるんは嬉しかった。


「ご飯食べたら、お風呂入り?髪乾かしたる」


泣き止んだAとご飯を食べ、お風呂まで送る。
お風呂から出てきたAの髪を乾かす。
こいつ最近痩せたな?というか実年齢より10歳くらいは幼く見える。


「すばる…今日一緒に寝よ…?」


無意識に誘ってくる。ほんま罪やで?
同居を始めてからずーっと我慢しとる。
俺にもそういう関係の女はおるから我慢しとるけど…やっぱAが好きやねん。


でもこいつは丸のことが好きなんやろうな。
それもずーっと小さい頃から。
その恋を叶える手助けなんてしてやれんけど。


ベッドに横になるAの隣に寝転がると、Aはぎゅっと俺にしがみつく。
俺理性よう保ってられるな…


「すばるのこと好きになれたら楽なのにな…わたしには恋なんて感情がどれかわかんないけど…」


「そんなこと言うたらあかんで、俺はただでさえAのこと好きやねんから。」


そう言ってAの両頬を手のひらで包む。
そんなこと言うても信じないのは知ってるけど。


そうしていると、突然視界が反転してAが俺に跨っとった。


「すばる…しよ…?」


あぁ…あかんて……
そんなえろい顔で俺のこと見んといてや…


「Aは残酷やな。別に俺はいつでもAのこと抱きたいで?けど、それで今度はその話誰にするん?」


暴走よ、止まってくれ!と思いながらAを諭す。
暗に、お前には俺しかおらんやろ?と伝えながら…


「Aは俺のこと好きやと思うねん。けど、まだわからんのやろ?わかるまで待っとくから。な?」


そう言って俺はAを抱きしめた。
こんなこと言って、俺はずるいねんな。


(自分がわからない。)

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作者名:ちい | 作成日時:2017年9月24日 13時

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