14日目 ページ14
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女性の声が近くなり、緊迫感が強くなっていく。
声は林の中から聞こえていた。
ピタッ
急に走っていた実弥さんの足が止まり、私の顔面が彼の背中にぶつかった。
「.....嫌な予感はしてたがなァ。」
「...え?」
実弥さんの声はひどく怒りを帯びていて、彼の背中で何も見えないので、私は言葉の意味が分からずクエスチョンマークを浮かべていた。
すると彼は私の腕から手を離し、勢いよく飛び出していった。
「いや!誰か、誰かぁ!!」
私は目の前の光景に立ち尽くしていた。
そこにあったのは、酷く脅えた女性と、化け物のような何かが人間を食べようとしている、地獄のような絵図だった。
あんな化け物に、人間が勝てるわけがないのは私でも分かっていた。
...このままじゃ、実弥さんが殺される...!!!
しかし、私の心配は要らなかったようだ。
「...風の呼吸、参の型 晴嵐風樹」
実弥さんの刀によって、化け物の首は落とされ、動かなくなった。
私は頭の整理がつかず、ただただ口をポカーンと開けるばかり。
泣き叫んでいた女性は、安心からか、地面にぺたりと座り込んだ。
「...立てるかァ?」
実弥さんは女性に手を差し伸べた。
その手を掴み、すっと彼女は立ち上がる。
「あ、ありがとう、ございます...!」
ポロポロと涙を流しながら、感謝を伝えていた。
しかし彼女はハッとして、表情を変えた。
「ひ、日向...!!」
そう叫んで、木に力なくもたれかかっている男の子の元へ駆け寄っていった。
・
「起きて!日向...!日向ぁ...!!」
必死に肩を揺さぶっても、起きる気配は無かった。
・
「...家族か」
「わたしの...!弟なんです...!!日向...っ!」
「弟」という言葉に実弥さんはピクっと反応して、男の子の元に歩み寄った。
・
「安心しろォ。気を失ってるだけだ。死んでねぇよ」
「ほ、本当ですか...!」
「...あァ」
その言葉に女性はまた涙を流し、男の子を強く抱きしめた。
その光景を、私はただ見ているだけだった。
・
女性は何度も実弥さんにお礼を言い、その後男の子を連れ治療をしてくれる病院へ急いだ。
「...行くぞォ、A」
「.....。」
命を懸けて2人を守った彼がとても眩しくて、しかし彼の表情は哀しそうで、私は何を言えばいいのか分からなくなった。
「...なんで泣いてんだァ?」
実弥さんは首を傾げると、私の頭を優しく撫でた。
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XoxoBl00d(プロフ) - コメント失礼致します!初めまして!貴方様が描かれる実弥、本当かっこいいです!この物語が好き過ぎて毎日幸せでした!!欲を言えば結婚までの続編が読みたいです(;_;)これからもお身体にお気を付けて更新、気長に楽しみにしております!/// (2020年3月27日 0時) (レス) id: ea837440b3 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 時間一日(ときまいちじつ)さん» ありがとうございます!!(。_。*)お気遣いもありがたいです!!はい、待っていてください!!(〃▽〃) (2020年3月14日 0時) (レス) id: 58efbb325b (このIDを非表示/違反報告)
時間一日(ときまいちじつ)(プロフ) - コメント失礼します。とても読みやすく実弥さんすごくかっこいいです!お身体に気をつけて更新頑張ってください、気長に待ってます(*´ω`*) (2020年3月13日 22時) (レス) id: 4c0ef34530 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - 月華さん» そう言っていただけて嬉しいです!はい!待っていてください(*^-^*) (2020年3月13日 13時) (レス) id: 58efbb325b (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - Aosugiさん» ほんとですか!ありがとうございます!( ; _ ; ) (2020年3月13日 13時) (レス) id: 58efbb325b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲良 | 作成日時:2020年2月28日 18時