あまい香り (ページ15)

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貴方side

やまと「そろそろ行こうか。」

そう言って、店員さんを呼ぼうとするやまとくん。
実はもうお会計は終わっている。
トイレに行った隙に終わらせておいたのだ。

呼び鈴を押す手を静止すると「え、なに？」と言ってこちらを見る。

「終わってるよ。行こ」

そう言って私が歩き始めると「ねぇだめだよ！女の子にそんな事させられない！」と言って歩きながらも抗議をしてくる。
あー面白い。
やまとくんと会うと、自分が自分じゃなくなったみたいに思えてくる。
それほど、感情を表に出せる。

車を停めたのが少し離れた所だったので、2人で歩く。

やまと「お金払わせて！いくらだった？車も出してもらってるのに申し訳ない！」
「助けて貰ったお礼」
やまと「いつ？！」
「初めましての時とコンビニの時」
やまと「そんなのは覚えてない！」

長めに駄々を捏ねるやまとくんの口に人差し指をあて、そっと離すと「ご馳走様。ありがとう」と言っているが、拗ねたのか少し唇は尖ったまま。

「本当に可愛いね」
やまと「どっちが。」

私達の間に男女独特の空気が流れる。
「かわいい」「綺麗」そう言われるのは初めてではないが、好みの男から言われれば別だった。

「おっ珍しく褒めてきちゃって。」

そうやって軽く茶化して、様子を見る。
少し横目でやまとくんをみると、真剣な横顔でぽつりぽつりと話し始めた。

やまと「初めて会った時から今までAさんのこと可愛いって思ってない瞬間これ、いっさいなーい」
「ねえ最後ふざけないでよ笑」
やまと「いや、これホント」
「奇遇だね。私もだよ。」
やまと「ん？」
「初めて会った時から今までやまとくんのことかっこいいって思ってない瞬間これ、いっさいなーい」
やまと「え！」

やまとの言葉に被せて返すと、びっくりした様子で「え！だって、、、」「でも、、、」と独り言を繰り返す。

やまと「えと、Aさんのタイプってこと？」
「そうね」
やまと「そんな真顔で、、」
「逆も然りですかね。これは。」
やまと「そうです、、、」
「お互い見た目がタイプってことか。」

まあ、この短期間でこんなに感情を出せる子私もいないから相性はいいんだろうな〜。
なんて呑気なことを考えているとやまとくんが私の正面に立つ。

「ん？」
やまと「恋愛に発展する可能性、一切ないなんてことないですね。」