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「叶恵」
小さな声とともに部屋のドアが開いた。
「遅くまで、お疲れさま」
椅子に座ったまま、後ろを振り向くと、パジャマ姿の母の姿があった。
「あんまり、根を詰めないようにね」
その言葉に笑顔で机の上に握っていたシャーペンを置いた。
椅子から立ち上がると、まっすぐに母親のもとに行って、母の肩を軽く叩いた。
「お母さんも、早く寝なよ」
こうやって、穏やかに向かい合えるようになったのは間違えなく結弦のお陰だった。
結弦がたくさん気持ちをぶつけてくれた経験が私の殻を破っていったように思う。
もう、結弦と会えないのかもしれないけど、もし何かの運命のいたずらでもう一度巡り会うことができたら、今度は胸をはって好きだと伝えられる自分でいたかった。
事務やコールセンターのバイトをしながら、専門学校ので栄養士の勉強を始めた。
今まで専業主婦だった母もスーパーでパートを始めてくれた。
ずっと、後悔した。
結弦にわざと会えないように勝手にカナダを去ったこと。
自分の臆病さにイライラした。
だけど、どんなに振り返っても過去は変わらない。
前に進むしかない。
自分で会えなくしちゃったのなら、自分で会えるように道を切り開いて行くしかない。
「栄養士の勉強がんばってるのねー。ほんとに」
「うん。ありがと」
散らかった勉強机を見て母が目を細めた。
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女だぬき(プロフ) - みひろさん» ご指摘ありがとうございました。修正しておきました。 (2019年8月8日 23時) (
レス) id: 83f20e6afc (このIDを非表示/違反報告)
みひろ(プロフ) - 初めまして。更新される度拝読しております。今回、気になった点があり書き込み致します。栄養士は通信教育では取得すること出来ません。必ず学校に通うことになっています。国家資格ですから。栄養士の資格を持っているので読んだ時はえっ(;゜∇゜) と思いました。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 269d6de49f (このIDを非表示/違反報告)
女だぬき(プロフ) - ななしさん» せっかく、読もうとしていただいたのにがっかりさせるようなことをしてしまい申し訳ありません。ほんとうにその通りだなと思いました。 (2019年7月15日 20時) (レス) id: 83f20e6afc (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 名前固定なら固定と書いてほしいです。変換して小説楽しみたい方にはがっかりですよ。 (2019年5月18日 15時) (レス) id: 9c84edb7a7 (このIDを非表示/違反報告)
女だぬき(プロフ) - 鹿さん» 読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます！！ (2019年1月16日 20時) (レス) id: 83f20e6afc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：女だぬき | 作成日時：2018年12月6日 20時
