家 ページ20
晴れない気持ちで何とか仕事を終えた。
「Aどうした？ 何があったん？」
『別に・・・。』
「嘘や。嘘ついても俺には分かるわ。」
章大君にこんな顔見られたくなかったな。
「A 明日休みやんか。今日俺ん家おいで。」
『えっ？』
「はい決まり。家でゆっくり話聞くわ。」
『拒否権ないの？』
「あるわけないやん。このまま家に帰したら1人で泣きそうやもん。
俺がそうさせへん。」
その言葉に我慢していた感情が溢れてきて涙が溜まってきた。
「ほらもうやばいやん。帰るで。」
海や買い物に行くことが多くて章大君の家に来たのは初めてだった。
男の人の部屋って感じで少し緊張する。
でも置いてあるものや洋服、家具のどれを見ても章大君を感じられて安心した。
『いい香りがする。』
「俺 香りフェチやねん。」って笑ってソファーに私を座らせた。
「A何があったん？」
『言いたくない・・・。』って下を向く。
章大君は私の右肩を抱いて自分の方へ抱き寄せた。
「Aは意外と意地っ張りやねんな。」って右手で私の頭をポンポンってして
その流れでギュっと抱きしめた。
章大君の腕の中。
章大君の温もりが伝わってきて安心できた。
「もう誰なん？ 俺のAをこんなにしたの。」
って言いながら私を腕の中に閉じ込めている。
『私たちが付き合ってる事バレてるみたい。』
「別にいいやん。」
『章大君 私たちって釣り合ってないよね。そんなの自分でも分かってるけど。』
「なんで？」
『釣り合ってないけど本当にうまくいってるのかって。』
「そんなんどうでもええわ。大きなお世話や。」って少しイラッとした。
「A 俺と付き合ってくれてありがとう。」
不意打ちな言葉にびっくりする。
「だって俺はじめは元カレと似ている最悪な印象の同僚やろ。
そっから同僚よりちょっと仲のいい友達。
で今 やっとAの彼氏。」
ってにっこり笑った。
『私なんかでいいの？』
「Aがいい。Aしかいらへんねん。」
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作者名：あず | 作成日時：2018年11月24日 16時
