中距離電車 2 (ページ17)

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君との距離67センチページ17

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コンコンッ

「新婦様。お時間ですのでご移動のご準備を。」

スーツに低めのポニーテールをした女性が

マコトを呼びに来た

「とりあえず、
式終わったらちゃんと聞き出すから！」

「あ、その事なんだけど…
実は今日の最終便で戻らなくちゃ行けなくて…」

「え！だってさっき朝イチの便で来たから
ひろくんに会ってないって言ってたじゃん！
久々に長く休みが取れたって言ってたのに！
そんなに仕事忙しいの？」

「新薬の開発チームメンバーに選ばれたの。
前回の絆創膏凄く評判が良くて」

「あーあの絆創膏ね！あれは革命的だよ！
Aの研究所ノーベル賞に
ノミネートされてたもんね！」

じゃあ落ち着いたら今度は私がそっちに行くよと

マコトは式の準備に取り掛かり、

私は会場に足を運んだ

誰かが負った傷を直ぐに消し去りたい

両親の遺体を見た時、

火傷で傷だらけになった姿を見て

もうこんな思い誰にもしてほしくないと願い

アメリカに飛んだ

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傷の回復を早める成分が開発され

時代を変える絆創膏の

プロジェクトに参加したことをきっかけに

また新しい形で人を助ける

新薬の開発チームに選ばれたとの連絡を

今朝所長から受けた

「しばらくは帰って来れないのかな…」

そんなことをぼーっと考えながら

階段を降りていると

ツルッ

「きゃっ！」

自分の足につまずき

まだまだ続く階段の上を前のめりに

少し宙に浮かんだのが分かった

え？私もしかして死ぬ？

せっかくチームに選ばれたのに？

まだまだやりたいこともあるのに？

まだ気持ちも伝えてないのに？

こんな幸せを祝う場所で私は死ぬの？

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そんなの嫌だよ

スローモーションに感じるこの空間で

それだけのことを思い浮かべた時だった

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