10:狂気じみた。 ページ10
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りーん、と微かに音がした。
「はぁーい、そこまでー」
「なッ…」
敦と芥川が決めの一手を出した時、間に入った太宰の異能力無効化によって戦闘は強制終了。
二人はギリギリのところで間に合ったのだ。
「貴方がたは探偵社の!何故ここに」
『ポケットの中、確認した方が善いですよ』
Aに促され、ポケットの中身を確認した樋口は、仕込まれた盗聴器を発見。
その後、呑気なことを抜かす太宰に銃を向けた。
だがそれは、芥川の手によって阻止される。
「太宰さん、今回は退きましょう。しかし人虎の首は必ず僕らマフィアが頂く」
「何で?」
ゴホゴホと咳をしながら話す芥川は、耳を疑う言葉を口にする。
「その人虎には闇市で七十億の懸賞金が懸かっている」
「へえ!それは景気のいい話だね」
次に探偵社を訪れた際、敦を渡せば善し、渡さなければ戦争となる。
挑発した太宰に痺れを切らした樋口は口調を荒げて云う。
「我らに逆らって生き残った者などいないのだぞ!」
「知ってるよその位」
頭をかく太宰に芥川が少し微笑んで補足する。
「然り。他の誰よりも貴方はそれを悉知している。
元マフィアの太宰さん」
太宰は不敵に微笑んだ。
と、此処で、黙って話を聞いていた彼女が漸く口を開く。
『成る程成る程、そう云う訳ですか』
ふむふむ、と歩き出すAに芥川は視線を向ける。
太宰はそれを、面白そうに見ていた。
『大凡、太宰さんが芥川さんの上司ってところですかね』
彼女の勘は中々当たる。
だんだんと芥川に近づいて行く彼女に、樋口は銃口を向けた。
『見たところ、相当太宰さんを認めているようで。貴方自身は如何だったのですか?』
太宰さんに認められてたんですか?と、Aは皮肉っぽく続ける。
『私はそうではなかったと踏みますが、今後貴方に機会が与えられる可能性は低いと考えられます』
「何故そう思う」
一定の距離を保って止まったA。
芥川は、痛いところを突かれ、反射的に言葉を発していた。
『この人は貴方を見ていないからです。マフィアの人間でなければ、貴方のものでもない』
クスクスと笑うAは、何処か狂気じみたようにも見えた。
『太宰さんは探偵社の人間です。
そして、同期である私のものです』
太宰ですら、Aの言葉の意味が理解できなかった。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時