5:同期の二人。 ページ5
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「如何かな?」
『流石です触らないで下さい』
虎退治を終えた太宰と伸ばされた手を避けたA。
彼女とて、太宰が有能であることは承知している。
だが、それとこれとは別だ。
彼女には、"太宰に触られてはいけない理由"がある。
「もう二年も一緒にいるのにつれないなぁ」
『そんなの関係ないですよ』
「唯一の同期なのに?」
『同期だからって、ボディタッチを許される訳ではないです』
虎の少年、敦を放置したまま繰り広げられる、中身のない会話。
これが彼らの日常会話であり、こんな会話でも信頼関係は築かれている。
「ところで君はいつから虎の正体に気付いていたんだい?」
『太宰さんと同じくらいじゃあないでしょうか』
敢えて細かく時を云わなかったのは、面倒くさかったからか、はたまた何らかの意味があるのか。
太宰もそれには触れず、Aもそれ以上その事を口にすることは無かった。
触れるべき事ではない事には決して触れない、これも二人の良い関係を継続させるひと項目でもある。
「おい、太宰!A!」
「ああ、遅かったね虎は捕まえたよ」
駆け込んできた国木田は、地面で寝ている敦を見て、驚いたような表情を見せる。
敦こそが虎であり、彼は異能者である。
変身している時の記憶は、ないようだ。
「全く、次から事前に説明しろ。おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ」
『あら、皆さんすみません』
Aが特に申し訳なさそうな様子を見せずに頭を軽く下げると、入ってきた人物は何時もの事だと受け流す。
横光A、そう云う人間である。
「なンだ、怪我人はなしかい?」
与謝野晶子、能力名『君死給勿』
「はっはっは、中々できるようになったじゃないか太宰」
江戸川乱歩、能力名『超推理』
「でもそのヒトどうするんです?」
宮沢賢治、能力名『雨ニモマケズ』
「どうする太宰?一応、区の災害指定猛獣だぞ」
国木田独歩、能力名『独歩吟客』
『私は不本意ですが、太宰さんと同意見ですよ』
横光A、能力名『花園の思想』
「うふふ、実はもう決めてある」
太宰治、能力名『人間失格』
「うちの社員にする」
その驚くべき言葉に皆は唖然とするが、流石は探偵社、呑み込みが早い。
あっさりと、敦を連れて社員寮へと戻って行くのだった。
『…二年、ではないんだけどね』
Aの小さな声は、誰にも届かない。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時