32:作戦立案。 ページ32
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「中に入らないの?」
『敦くんは入りたいですか?』
「いや、そういうわけではないけど、」
『私はあの二人の会話には混ざりたくないです』
組合を倒せる情報が手に入ったと聞き、探偵社に駆け込んだ敦。
谷崎に案内され、会議室へと来たが、開かれたドアの前のAが立っていた為、中には入らなかった。
太宰と乱歩、並外れた頭脳の持ち主の二人と会話をするのは難解であり、面倒である。
「誰がそんな情報を?」
『乱歩さんらしいですよ』
流石ですよね、と乱歩を見るA。
お菓子を食べながら机に足を乗せているのは、見なかったことにしているようだ。
「潜入から爆弾?」
「はぁ?無理だろ、通信から狙撃で着水して失敗だな」
「……本当だ」
『意味わかります?』
「さっぱり」
『私もです』
Aがここで見ている理由も、あの会話には混ざれそうにないからである。
話している二人以外は判らないだろう。
敦も、頭にハテナを浮かべたまま動かなくなっている。
「となると敦くんか」
「ふうん、ま、『細雪』を使えば悪くない」
『敦くんで決定したみたいですよ?』
「え、何が?」
『あれじゃないですか?潜入する役』
乱歩が肯定したことにより、潜入作戦の段取りがおおよそ決まってきていた。
太宰は、不要になった紙で紙飛行機を折っていた。
呑気な人である。
「最後は山?」
「海だ」
「了解」
『私は海派です。敦くんは?』
「何の話?」
部屋の入り口で話を聞いていた二人は、頭の中の情報処理が追いつかず、会話が成り立たなくなっていた。
Aに関しては何時もと変わらないようにも思えるが。
と、彼女の視界に飛んでくる紙飛行機が入る。
先程、太宰が折っていたものだ。
Aはそれをサッと避け、避けられなかった敦の肩にこつんと当たる。
『敦くん当たりましたー。これで君は土の中です』
「……何?」
『やだなぁ、これが敵の攻撃だったらどうするんですか?そんなんじゃあ簡単に御陀仏ですよ?これから敵地に潜入するのに』
「縁起でもないこと云わないでよ!」
本気で嫌がる敦を見て、クスクスと笑うA。
これからの敦を思って、彼を元気付けようとしているのか、それとも本当に素なのか。
どちらにせよ、縁起でもないことを云ったことに変わりはない。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時