31:双黒と少女。 ページ31
.
「太宰、、腕が」
「中也、死ぬ前に聞いて欲しい事が、」
「何云ってやがる!こいつだって目が覚めてお前が死んでたら、」
懐かしの遣り方で、ラヴクラフトを倒したと思われたその時だった。
倒されていなかった彼に、太宰は腕をちぎられ、作戦は失敗に思われた。
Aを担いで太宰の元へ駆け寄った中原は、その姿を見て驚きを隠せずにいた。
「ばぁ」
「は、」
一見深刻そうに見えるが、中原をからかうのが太宰である。
彼は包帯で腕を偽装しており、ちぎられたのは偽の腕。
そのふざけた様子に、中原は激怒した。
『…何か、思った以上に、、凄いことに、なってますね、』
「やぁ、A。気分は如何だい?」
『善いわけ、ないじゃない、ですか』
たどたどしく話すAは未だ回復の途中。
意識は戻ったにしろ、動ける気配はない。
『中原さん、ご迷惑をおかけしてます、』
「気にすんな。ところで、お前怪我が、」
『私の異能は、自己治癒能力です』
彼女の怪我が、だんだんと治っていく事を不思議に思った中原だが、理由を聞いて納得する。
中原はAを木の根元に下ろし、太宰との作戦立案に戻る。
「『汚濁』をやる気か?」
「私の援護が遅れれば中也が死ぬ。選択は任せるよ」
そうは云うものの、太宰がこう云う時は、常に選択肢など存在しなかった。
最早それにしか、勝算はない。
その後、中原の異能と、太宰が仕込んだ爆弾により、ラヴクラフトを撃破。
残された中原は、太宰によって止められ、座ったまま眠りについた。
『すみません、思った以上に役に立ちませんでした』
「厭、君がいなかったら私が死んでいたよ」
よろよろと太宰に近寄るAは、珍しく彼に申し訳なさそうな顔をした。
それでも太宰の云う通り、彼女も役に立った部分がある。
決して無駄だったことなど、ないのだ。
「信じられない、、あのラヴクラフトが。君たちは一体、」
傷を抑えて、驚きを隠せないスタインベックは独り言のように呟いた。
それに太宰は、少し微笑んで答える。
「悪い奴の敵さ」
それ以上、彼らの中で会話は生まれなかった。
そして、太宰とAは帰路につく。
「肩、貸そうか?」
『丁重にお断りさせて頂きます』
置き去りにされた中原については、誰も触れない。
.
403人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時