20:メッセージ。 ページ20
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『いやいや、可笑しいですって』
「今それどころじゃないよ」
組合が現れた次の日の朝、相変わらず窓から入ってきたAは独り言のようにそう云う。
それに反応したのは敦のみ。
『私が踏み台にしてた建物が無くなってました』
「踏み台って、、」
若干言葉選びを間違えたように思える彼女に敦がたじろいでいると、国木田が勢いよく社のドアを開ける。
どうやら、組合からのメッセージが朝刊に載っているようだ。
「おい、朝刊見たか!」
「報道でもやってるよ」
太宰も真剣そうにテレビを眺める。
現場の様子が映った画面は、不可思議に空いた土地を映している。
七階建ての建物が一夜にして消滅したというのだ。
《一部情報筋では消滅した建物はポートマフィアのフロント企業が入っており、》
『敦くん、私とんでもないもの踏み台にしてたみたいです』
「本当だね、」
話がズレているが、最早敦はそれには突っ込まない。
慣れとは怖いものだ。
「『メッセージ』とは此れか」
「やはり寮にも賢治くんは居ません」
「逆らう探偵社も、用済みのマフィアも凡て消す、か」
社の雰囲気が、いつにも増してピリピリとしだす。
昨日、組合の案内役を務めた賢治は行方不明。
奴らに何かされたと考えるのは、妥当である。
「谷崎、これ以上単独で動くな。敦と組んで賢治を捜せ」
国木田は、相当頭にきているようだが、判断は的確だ。
敦と谷崎は、慌てて支度を開始する。
「太宰とAは俺と会議室に来い。社長会議だ」
賢治が消えた、と聞いたAは真面目な表情だった。
いくら彼女がズレているとしても、仲間に手を出されて黙って居られる筈はないのだ。
『探偵社とマフィア。同時に手を出すなんて余程自信があるようですね』
「昨日の社長に対する態度も、相当だったみたいだよ」
会議室に向かう最中、彼らの思考は既に巡らされている。
『っ、』
「如何かしたのかい?」
『いえ、何でも』
歩きながら、Aは腹部に謎の痛みを感じた。
怪我をしたのならば、彼女の異能がそれを治癒するはずだ。
だが、彼女にはそれが何の痛みかは判っていた。
『ふふ、』
「国木田くん、Aが笑っているよ?」
「この状況でよくもまあ笑えたもんだな、A」
必死に弁解する彼女の頭に、国木田の拳骨が飛んだのであった。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時