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2:苦労の根源。 ページ2

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『国木田さん』


「なんだ」





手帳を開きながら歩く男、国木田独歩。




その隣を溜息をつきながら歩く女、横光A。





『その手帳に、今の状況が書いてあったりは、』


「しないな」


『じゃあ、私の同期があんなだとは、』


「勿論、書いてあるはずがない」





ですよね、とAは判っていましたとでも云うようにあっさりと返した。




彼らが所属する探偵社には相当頭の切れる、有能な人物がいる。




が、彼は相当な自 殺嗜癖である。




今日も彼は仕事中に川に飛び込み、残された二人は止むを得ず捜索を開始していた。





『どうせ死ねないんだから、辞めればいいのに』


「そんな簡単にいくのなら、こんなに苦労はしていない」


『本当、その通りですよ、』


「お前も同じだ、A」





国木田の突然の振りに、Aは、は?、とそちらを見た。





国木田曰く、彼女も相当な自由人らしい。





詰まり、太宰治と横光Aは探偵社内の問題児ツートップである。





だが、Aは其れに気づいていない。





国木田の苦労は増えるばかりだ。





「飛び込んだのがさっきの場所だとすると、ここら辺に流れてくるか?」


『そうだと思いますけど、あ!!』


「どうした!流れてきたか!」


『餡蜜が売ってます!』





巫山戯るな、と手帳の角が彼女の頭に飛ぶが、Aは其れを見ずに避ける。




この女、身体能力の高さは異常なのだ。





ガミガミと怒り出す国木田の話になど聞く耳を持たず、視線だけを川へと向けていた。






『あ、国木田さん国木田さん』


「なんだ、もうさっきの手にはのらん。お前のくだらない話に付き合ってる暇など、」


『いやいや、太宰さんいますけど』


「早く云え!」





慌てて河原へ降りていく国木田に放置されたA。





仕方がないので、河原までの斜面を飛び降りる。






「こんな処に居ったか唐変木!」


『仕事中ですよ、太宰さーん』


「おー、国木田くんにA、ご苦労様」





見慣れぬ少年といる太宰に二人が声をかけると、彼は楽しそうに手を振ってくる。




その様子にAは深い溜息をついた。





『あの人、誰のせいで苦労してると思ってんでしょうね国木田さん』


「俺の苦労の半分はお前だ」


『えー、ご冗談を』






国木田の苦労が絶えることはない。






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3:探偵の三人。→←1:ぷろろーぐ。



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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時

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