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「精神操作の異能だったのか」
『そう。細かく云えば頭、記憶の方だけど』
結局彼奴は、一人で全部片付けた。
嫌い疎まれるその異能。
彼奴が使いたがらないのも、頷けた。
『ねぇ中也、、動ける?』
その言葉を聞き、重い体を引きずって、彼奴のそばまで近づいた。
この時初めて、彼奴の様子がおかしいことに気がついた。
触れようと手を伸ばすと、それは拒まれた。
『私の異能は、常に中也の強化形態、みたいな、ものなの』
途切れ途切れになっていく言葉に、不信感を感じた。
『だから、一度使えば、止まらない』
心臓の鼓動が、煩かった。
項垂れていた彼奴は、ゆっくりと顔を上げた。
悲痛に耐えるその表情は、何かが壊れるのを抑えているようにも見えた。
『……中也、、私を、殺して、』
このままだと、貴方を殺しちゃう。
そう、はっきり彼奴は云った。
「手前、、何云ッて、」
『早くッ!!』
辺りを嫌な空気が包み込んでいた。
時間がないと、警告していた。
俺は彼奴の首に手を掛けた。
そして、力を込めた。
死ぬというのに、彼奴は笑って俺の頬に手を伸ばした。
その時、頭に何かが流れ込んできたように感じた。
『__________』
最後の言葉が、思い出せない。
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あ2み(プロフ) - すっごく深いお話ですね、思わず泣いてしまいました。文才もあって内容も素敵で読みがいがあります。素敵な作品ありがとうございました! (2018年1月21日 19時) (レス) id: a91b06e269 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - とても素敵なお話でした!ジーンと来ました! (2018年1月21日 10時) (レス) id: 01d2c8bc81 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - いい話で泣いてしまいました! (2018年1月21日 9時) (レス) id: 4724cc677a (このIDを非表示/違反報告)
★★ - とてもいいお話でした!!(つд⊂) (2018年1月21日 4時) (レス) id: 800725f97d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2018年1月20日 22時