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戦い慣れていように、見えた。

殺さない、そう宣言したAは的確に急所を外して銃弾を打ち込んでいた。逆に云えばそう、その気になればいつでもそうできるということだ。

『太宰さん、動かないで下さいね』

Aは一瞬太宰を見て、云った。彼はどうするべきか悩んだ。入る隙は見つからないが、どうにかして手を貸さなければと思っていた。自分がこの組み合わせを考えたのだから。

そんな太宰の様子を見たAは一旦相手との距離を取り、彼に背を向けたまま付け足す。

『もう、貴方を失いたくないんです』

何の話だろう、と太宰は思う。何度試みても、一向に死ねない。彼の願いは、一度たりとも叶ったことがないのに。

バサリ、と音を立ててAの外套が風に煽られる。そして彼女は、脇の拳銃囊に手を伸ばした。

声が、出なかった。

二挺拳銃に、脇の拳銃嚢。袖に隠されていた、予備弾倉を収納したリストバンド。

どうして、こんなことがあるのだろうか。

「……織田作」

太宰の声が聞こえていたのかはわからない。Aはその後も、祈るように、戦い続けていた。





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「………帰ろう、A」

物音のなくなったその場所で、太宰は立ち尽くすAに声をかける。

彼女はただ呆然と、空を眺めていた。

両手には未だ拳銃が握られていた。それはずっと昔からそこにあったようにも見えて、彼女の体の一部のようにも思えた。

『……おかしいな、手から離れないや』

太宰は振り返らず背を向けたままのAに近寄り、半ば無理やり拳銃を離させる。
その手には、彼女のものとは思えないほどの力が入っていた。

『太宰さん、私ね』

間があった。Aも太宰も何も云わない、そんな時間が。

『記憶喪失なのは嘘です。本名を、織田Aといいます』

「……いい名前だね」




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- 感動しました!完結おめでとうございます! (2018年11月18日 15時) (レス) id: 1914631717 (このIDを非表示/違反報告)
ANN(プロフ) - 感動しました。感動しました。完結おめでとうございます(*>∀<) (2018年11月18日 15時) (レス) id: 0ad3bbb3df (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - 完結おめでとうございます(^-^) (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - すごい、こんなに感動したのは久しぶりです。 (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
琴吹(プロフ) - 最高でした。 (2018年11月18日 12時) (レス) id: 0c8e621b62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2018年11月17日 23時

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