検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:66,058 hit

. ページ4

.


Aが入社してから数ヶ月が経っていた。

彼女はずっと前からそこにいたように、馴染んでいた。

『おはよう、敦くん。人が少なく感じるけど何かあった?』

「おはよう、A。今日は何か、会議があるみたいだよ」

なるほど、とAは手を打った。よく見てみると年長組の姿がなく、彼らは社長と別の部屋にいるようだった。

『どうにかしないのかなっては思ってたんだよね』

安堵の表情を見せる彼女に、敦は頭にクエスチョンマークを浮かべる。どうやら彼は、何にも気づいていないようだ。

少し離れたところで谷崎が苦笑を浮かべている。彼は敦は既に気がついていると思っていたのだ。

「私はAが気づいていないんだと思ってた」

『あら鏡花ちゃん、おはよう。私は常に背後を気にしているんだよ!』

「それはそれでおかしい」

少し前から、社員たちは背後からの視線を感じていた。どこへ行くにも、誰かが後ろにいる気がする、そんな状態が続いていたのだ。

敦はそれを聞いて、最近の謎の視線について納得したようだ。賢治に関しては、そんなことがあったんですねー、と彼らしく呟いていた。

『組合の残党って感じ?と云っても私組合さん知らないけど』

「僕らが戦った人たちじゃないらしいよ。多分、もっと下の」

谷崎が軽く説明をしたところで、会議室の扉が開いた。どうやら会議は終わり、結論が出たらしい。

奴らが何かを仕掛けてくるのは目に見えていた。だからこそ、先に動かなくてはならない。こちら側に怪我人が出てからでは遅いのだ。

「敦と鏡花、俺と谷崎、太宰とAの三組でそれぞれ敵を撃退する。残りのものは待機だ」

作戦の最後、それぞれの組を国木田が口にした。それにAは驚きの声を漏らした。

国木田の鋭い視線が彼女に向けられる。

「何だA。何か問題でもあるのか」

『私のところ、戦闘力ゼロじゃ…?』

「私だってやればできる」

結局のところAの意見は流され、作戦の変更はなかった。

そして彼女は溜息をつきながらも、護身用の拳銃に手を伸ばしたのだった。


.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 感動しました!完結おめでとうございます! (2018年11月18日 15時) (レス) id: 1914631717 (このIDを非表示/違反報告)
ANN(プロフ) - 感動しました。感動しました。完結おめでとうございます(*>∀<) (2018年11月18日 15時) (レス) id: 0ad3bbb3df (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - 完結おめでとうございます(^-^) (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - すごい、こんなに感動したのは久しぶりです。 (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
琴吹(プロフ) - 最高でした。 (2018年11月18日 12時) (レス) id: 0c8e621b62 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ろろみや。 | 作成日時:2018年11月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。