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Aが入社してから数ヶ月が経っていた。
彼女はずっと前からそこにいたように、馴染んでいた。
『おはよう、敦くん。人が少なく感じるけど何かあった?』
「おはよう、A。今日は何か、会議があるみたいだよ」
なるほど、とAは手を打った。よく見てみると年長組の姿がなく、彼らは社長と別の部屋にいるようだった。
『どうにかしないのかなっては思ってたんだよね』
安堵の表情を見せる彼女に、敦は頭にクエスチョンマークを浮かべる。どうやら彼は、何にも気づいていないようだ。
少し離れたところで谷崎が苦笑を浮かべている。彼は敦は既に気がついていると思っていたのだ。
「私はAが気づいていないんだと思ってた」
『あら鏡花ちゃん、おはよう。私は常に背後を気にしているんだよ!』
「それはそれでおかしい」
少し前から、社員たちは背後からの視線を感じていた。どこへ行くにも、誰かが後ろにいる気がする、そんな状態が続いていたのだ。
敦はそれを聞いて、最近の謎の視線について納得したようだ。賢治に関しては、そんなことがあったんですねー、と彼らしく呟いていた。
『組合の残党って感じ?と云っても私組合さん知らないけど』
「僕らが戦った人たちじゃないらしいよ。多分、もっと下の」
谷崎が軽く説明をしたところで、会議室の扉が開いた。どうやら会議は終わり、結論が出たらしい。
奴らが何かを仕掛けてくるのは目に見えていた。だからこそ、先に動かなくてはならない。こちら側に怪我人が出てからでは遅いのだ。
「敦と鏡花、俺と谷崎、太宰とAの三組でそれぞれ敵を撃退する。残りのものは待機だ」
作戦の最後、それぞれの組を国木田が口にした。それにAは驚きの声を漏らした。
国木田の鋭い視線が彼女に向けられる。
「何だA。何か問題でもあるのか」
『私のところ、戦闘力ゼロじゃ…?』
「私だってやればできる」
結局のところAの意見は流され、作戦の変更はなかった。
そして彼女は溜息をつきながらも、護身用の拳銃に手を伸ばしたのだった。
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碧 - 感動しました!完結おめでとうございます! (2018年11月18日 15時) (レス) id: 1914631717 (このIDを非表示/違反報告)
ANN(プロフ) - 感動しました。感動しました。完結おめでとうございます(*>∀<) (2018年11月18日 15時) (レス) id: 0ad3bbb3df (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - 完結おめでとうございます(^-^) (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - すごい、こんなに感動したのは久しぶりです。 (2018年11月18日 13時) (レス) id: e1d97e38a0 (このIDを非表示/違反報告)
琴吹(プロフ) - 最高でした。 (2018年11月18日 12時) (レス) id: 0c8e621b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2018年11月17日 23時