松63つ。 ページ30
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カラ松「Aは、優しいな」
ぎゅっと握った手。
夕日が沈みかけている中、俺たちは帰路に着いた。
世界がオレンジ色でキラキラと輝いている。
『・・・優しくない。
ちゃんと謝って、お礼言いたかっただけ』
そう言うAの目もまた、オレンジ色の街を写し、とても綺麗だった。
カラ松「急に成長したみたいで、なんだか寂しいな」
心で思ったとこが口に出ていた。
『私だって、16歳。
でも、成長しても、しなくても、私は、カラなんとかの妹』
違う?、とそう言うように首を傾げて見上げてくる。
カラ松「あたりまえだろう」
なにがあったって、Aは俺の妹だ。
『・・・あのね、』
突然、繋ぐ手に力が入った気がした。
カラ松「なんだ?」
『・・・あの日さ』
あの日、とは、俺がAを拾った日だと直感的にわかった。
『私、いつもみたいにぼーっとしてた。
なにも覚えてなくて、なにをすればいいのかわからなかったから。
そしたら、何故か、昨日ってなにしたっけって思って、思い出せないのが怖くなった。
それで、デカパン博士のとこから飛び出した。
誰かに助けてもらいたかった。
そばにいて欲しかった。
だから、泣きながら走って、公園にあったダンボールに、思い出せない文字を一生懸命書いて、待ってた』
カラ松「そこに来たのが、俺か」
そう問えば、うん、と。
『・・・だから、俺の家に来るか、って言われた時、本当に嬉しかった』
今まで、わからなかったAの気持ち。
その言葉は、とても暖かかった。
『私を、拾ってくれたのが、カラなんとかでよかった。
・・・・・ありがとう』
微笑まれ、俺もつられる。
Aはこんなにも綺麗に笑えるのだ。
お礼を言うのは俺の方だ。
『帰ろ、カラ松兄さん』
俺たちは再びオレンジ色の世界を歩き出す。
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milk - 読みながら泣いてました…!!とても感動する作品でした。完結の仕方もとても素晴らしかったです!!素晴らしい作品をありがとうございました。 (2022年8月23日 10時) (レス) @page32 id: 1d931b58b6 (このIDを非表示/違反報告)
おそ松推し - 名前ちゃんの辛い日々と6つ子の優しさに、思わず泣いてしまいました! (2021年11月13日 13時) (レス) @page32 id: ba5dad3d4c (このIDを非表示/違反報告)
カラ松girl - あ、気づいたら完結してる…うぅ…終わっちゃった…カラ松推しで「カラなんとか」って初めてみたとき吹きましたwwww推しのはずが名前覚えてなかったと思うとwww面白かったです! (2021年8月11日 20時) (レス) id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
Sansの河(プロフ) - 感動して思わず泣いてしまいました!(T ^ T)こんなに素晴らしい話を読んだのは久しぶりです……この小説に出会えてよかった。ありがとうございました!!! (2019年3月20日 10時) (レス) id: c3d69dd7c4 (このIDを非表示/違反報告)
いっちー - めっちゃ泣きましたその国語力分けてください笑これからも頑張ってください (2018年9月4日 6時) (レス) id: 4801f1c9b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡狸カルタ | 作成日時:2016年4月26日 0時