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ふかふかの何かの上に横になっている俺は目をゆっくりと瞬きをする。
見覚えのあるような天井に、うっすらと暗い空間。どこだここ。
「あ。おはよう」
「おはようございま__」
聞き覚えのある声が左側から聞こえたので、頭を動かして見てみると携帯をいじりながら少し身体を起こしている淳弥くんがいた。
__ん?
「うわあああああ!?」
ドンッ。俺は思いきり尻餅をついた。叫びながら、状況を見ながら、情報を整理する。
ここは淳弥くんの家で、そして俺がいる部屋は寝室……ベッドの上だ。
「大丈夫?」
「大丈夫……じゃない、です」
ベッドの上から覗いて見てくる淳弥くん。俺が大丈夫そうに見えますか。尻が痛い。
いてて、と腰に手をやりながら、枕の近くにある携帯を触ってみると。
「えっ5時!?」
「随分と早起きだね」
日付が変わって午前5時と表示されていた。またもや記憶がないぞ。
「あれ?淳弥くんは……」
「今から2度寝しようかなって」
なるほど。さすがに起きるのにはまだ早い。
「一緒にする?2度寝」
「……」
そのまま甘えたいけど、またベッドで寝るのは迷惑だ。ソファで寝ようかな。
「あ、あの……昨日は」
「いつもソファで寝てるから、ここでもいいかなと思って。というかAくんがハイテンションでベッドに乗ってそのまま寝てたんだよ」
「スミマセン」
本当に記憶がない。昨日の俺、最悪だ。
「“淳弥くんのベッドで寝たーい!”ってね」
「僕のモノマネめちゃくちゃ似てますね……」
◇
ソファで寝ようとするから、俺は彼を止めて無理矢理にでもベッドの上に寝かせた。昨日のことで相当疲れているようだったからゆっくり休んでほしい。
「淳弥くんの家居心地良いんです」
「それ、前にも言ってたね」
と開き直ったのか、横になってからいつも通りたくさん喋っているAくん。
「持ってくるの面倒なので、お泊まりセットは置いたままでも大丈夫ですか?」
「正直に言うようになったね。いいよ」
変に壁があるよりも良い。信頼、とは少し違うかもしれないが、気軽に話せる関係は嬉しいものだ。
「2度寝だ〜……ふぁ〜あ」
相変わらずこの生活に変わりはない。
「……Aがいてくれて良かったよ。ありがとう」
「んぅ……こちら、こそ」
既に目を閉じて眠りかけているAの頭を優しく撫でて、俺も目を閉じて2度寝をした。
この後、少し寝坊をしたのはここだけの話だ。
END.
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作者名:のん | 作成日時:2023年8月4日 20時