年齢なんて関係ない。とりあえず楽しむ。 ページ49
学生時代で1番楽しい時期といえば夏休み。とにかく満喫して楽しむ…けれど、満喫出来るのは学生の間だけ。
大人になってからはそのような長期休暇はない。
仕事、仕事、仕事。仕事ばっかり。
「せっかく休みもらったからどこか行こうよ、淳弥！」
「んー。」
「うわ、絶対に行く気ないね。」
現在私は以前住んでいた弟の家へ遊びに来ていた。“あれから”毎日ではないが、月に数回は遊びに来ている。
この家に住んでいる弟は別に嫌そうな顔も嬉しそうな顔もしない。所謂“無”である。
話に戻って、私と淳弥は“同じ時期”に休みを貰った。これはたまたまであると思うかもしれないが、一緒に過ごしたいがために同じ時期にしてもらった。マネージャーさんからは“流石ブラコン”と言われた。否定はしない。
テレビでは“もうすぐ夏休みが終了！？最後にどこ行く？”という企画が流れていた。
そう、実は現在8月後半なのだ。課題が終わっていない学生は絶望的な状況である。
もう夏休みは終わるんだなあと思ってソファに座っていた私は、ピコン…と1つのアイディアを思いついた。
「あ！」
「い？」
「ちょ…っ、ふふっ急にボケないでっ、淳弥っ。」
「それで？」
「見事なスルー…。そうそう、良いこと思いついたの！」
ニヤニヤする私を、隣で座って見ている淳弥は顔色を悪くした。もしかして勘付いてしまったのか。
＊
「良いこと思いついたって…。」
「海だー！」
「あっつ。」
「助手席に大人しく乗っていた人は文句言いませんよー。」
姉が思いついたこと。それは“海へ行くこと”だった。なぜ海なんだ。その突拍子もない思いつきは弟の俺にも理解出来ない。
…あぁ、仕事に戻りたい。
「なんで俺を誘ったの？」
「淳弥と行きたかったからだよ。」
「…へぇ。」
「そっちから聞いてきたのに興味無さそうだね。」
8月の後半ということで人は少なかった。テレビで見ていた人がたくさんの光景はもうなかった。
「冷たっ！」
早速姉はサンダルを脱いで海水を手で掬ったりしている。ちなみに水着なんてものはない。本当にいきなりだった。
…タオルをたくさん持ってきて正解だったかな。
そして俺は大人しく、遊んでいる彼女を携帯で撮るのだった。
「淳弥ー！遊ぼー！」
「俺は良いよ。」
「何撮ってるの？」
「なんでもない。」
これは俺だけの思い出にしようかな。
___
続きます
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作者名：のん
| 作成日時：2021年10月17日 10時
