38 寂しい? ページ42
最近ふと思うことがある。
…家、こんなに広かったっけ。
と。
あれからここ数日は、姉はマンション探しでほとんど家にいない。そしてご飯を一緒に食べることも少なくなった。
仕事をしながら、ああだこうだと部屋を探して試行錯誤、ドタバタと忙しい様子だ。
姉1人がいないだけ。ただそれだけなのに広く感じる。
そしてこの家は、今までは俺1人が住んでいた場所。
また、元通りになるだけだ。そう言い聞かせるけれどぽっかりと穴が空いた感じがする。何かが物足りないような。
「はぁ…。」
ストン、と力が抜けるようにソファに全体重をかけて座った。
「あ。」
するとその時、テーブルの上に置いてある携帯が鳴った。画面には姉の名前が表示してある。
「もしもし?」
「もしもーし!」
相変わらずテンションが高い。
「どうしたの、姉ちゃん。」
「夕ご飯何がいい?」
「…今日一緒に食べれるの?」
「うん!」
どうやら夕食は何がいいかという電話だった。
久しぶりに2人でご飯が食べれると思うと、顔がニヤつく。ここに姉がいなくて良かった。
「じゃあハンバーグ。」
「わかった!」
「一緒に作るからね。」
「んふふっ。そうだね!一緒に作ろう!」
向こうもちょっぴり嬉しそうな感じがして、そのような顔をしているのだろうと想像出来る。
姉は随分と料理が上手くなった。全然出来なかったときよりも。
でも俺の方が上手いのは変わらない。ここは譲れない。
“Aの決めたことには何も言わない”と言ったのはどこのどいつだ。そう、自分だ。
本人が決めたことに首は突っ込まない。
___だから今更寂しいだなんて言ったって、いい迷惑だ。
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作者名:のん | 作成日時:2021年10月17日 10時